近代以降の世界はさまざまな変化をもたらし、そのために、私たちの重点はつながりから自主性へと移った。
それらの変化のほとんどは、何年かではなく何世代もかけてゆっくり起こったので、つながりと自主性の緊張関係が私たちの抱える現代の問題の中心にあることに気づいた人は、これまでほとんどいない。
そして、私たちの問題は、本質的に異なる多様な説で説明される。どの説も、目前の問題のみを対象としており、全容を語ろうとするものは1つもない。
ところが、私たちの問題のほぼすべてには共通点がある。すなわち、人間は満たされているべきときに空(むな)しさを経験する。要するに、私たちは幸せであるべきときに悲しいことが多いのだ。
現代世界は私たちの人生におけるつながりと自主性のバランスを乱してしまったと私は思っている。そのせいで、良い方向に進むこともあったが、悪い方向に進むことのほうが多かった。
このアンバランスのせいで私たちが苦労していることに気づけば、自分たちの抱える問題の見え方が変わるし、その解決法にしても同じだ。これら2つの欲求の相互作用を理解すれば、一見無関係なさまざまな問題が1つにまとまると同時に、自らや世界を新たな目で見ることができるようになる。
ヒトはつながりを求めるように進化した
600万年前に局地的な気候変動のせいで森林が減少し、住処(すみか)を失った私たちの祖先は、やがてサバンナで安全のために集団を成した。
協力が増え、社会性が高まったため、ヒトは新たな進化の軌道に乗り、私たちの最も根本的な心理的欲求は、つながりを求めるものになることが決定づけられた。
ここで言う「つながりへの欲求」とは、協力し、社会的絆を結び、友情を育み、長期的な恋愛関係を築き、自分の集団にしっかり結びつきたいという私たちの願望を指す。
つながりへの欲求は、ヒトの進化で中心的な役割を果たした。自分が小さ過ぎたり、弱過ぎたり、無知過ぎたりして独力では解決できない問題を、その欲求のおかげで協力して解決できるようになったからだ。
つながりは、かつては死活問題だったし、今でも相変わらず決定的に重要だ。


※ログイン後、コメント入力が可能です。