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山奥の「ミシュラン店」築いた女将の半生と「母みたいにならない」と家を出た娘が選んだ継承→時流に合わせた"経営改革"で昔話の世界を未来へ

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右から、みたき園オーナー寺谷誠一郎さん、女将・節子さん、若女将・亜希子さん(筆者撮影)
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山の奥深く、昔話の世界がそのまま残ったような一軒の料亭がある。木漏れ日が差し込むその空間では放し飼いのニワトリが歩き、水車が静かに回る……美しい「日本の原風景」の世界観を感じられるところだ。
前編では、創業者・寺谷誠一郎さんによるみたき園の破天荒な開拓記を紹介した。後編では、夫から経営を引き継ぎ、「おもてなしひとすじ」で里山の名店を築き上げた女将・節子さんの奮闘を描く。さらに、その背中を見て育った若女将・亜希子さんが抱いた葛藤、そしてみたき園を未来へつなぐための挑戦を紹介する。
前編:「借金7億、あるのは山だけ…」→「そうだ!ここで料理と酒を出したら最高だ」山奥の森を切り開いて“ジブリの世界”を作ったクレイジーな男の開拓記

すべてをイチから作る「生きる知恵」に価値を見出す

1997年9月、寺谷さんは智頭町長就任でみたき園の経営から手を引いた。その半年後には経営のすべてを商売経験のない妻の節子さんが担うことになった。

「今よりも、お客様が“来ない店”にします」

「来ない店」とはどういうことだろう? 節子さんが目指したのは、山のなかで特別なひとときを味わってもらう場所だ。「多くの人が来てすぐに帰ってしまうのは心苦しい。むしろゆっくりと楽しんで過ごしてほしい」という思いから、提供する料理を「きちっとしたもの」へと転換した。節子さんにとっての「きちっと」は、芦津の暮らしで代々引き継がれてきた手仕事と食文化だ。作り手は料理のプロではなく、この土地で暮らす人たちにこだわった。

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【目にうつるすべてが新鮮だった】

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