北海道「ロケ地になった秘境駅」最後の姿を訪ねて 何ともいえない寂しさや旅情が漂う名駅舎たち

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1999年に公開された映画『鉄道員(ぽっぽや)』は、浅田次郎さんの小説が原作で、『南極物語』と同じく高倉健さんが主演した名作です。

映画に登場する「幌舞(ほろまい)線」の終着駅「幌舞駅」として撮影が行われたのが、ここ幾寅駅。「幌舞線」が廃止されると同時に、高倉さん演じる駅長も鉄道員としての定年を迎える。その哀愁が、この駅を舞台に見事に描かれていました。

幾寅駅では、2016年8月の台風による線路被害以降、列車は通っていませんでした。列車が再び通ることはなく、廃止されてしまったことになります。

しかしながら、地元南富良野町によって、駅舎も撮影当時のまま残されています。駅舎の中は、ちょっとした『鉄道員』博物館となっており、衣装や小道具など、大切に保管されていて、廃線となった今でもファンが訪問できるようになっています。

もう列車が来ることのない「駅前広場」にも、車両の一部が展示されています。また、本作が唯一の映画出演作となった志村けんさんが印象的なシーンを演じた、駅前食堂「だるま食堂」の建物も見ることができます。

ただ、ここは北海道でも有数の豪雪地帯。映画での撮影セットというものは、撮影が終わったらすぐに取り壊せるように作られていることも多く、さすがにそのままにしていては、建物も1年ともちません。既に公開から25年以上経っていますが、いまだ健在。地元の方々の保存に対する熱い思いに、ただただ頭が下がります。

幾寅駅
駅前広場に残された車両(筆者撮影)
幾寅駅
駅周辺にはロケセットがそのまま残されています(筆者撮影)

廃線路線内にある「名駅舎」

続いて、函館本線深川駅から西へ向かう「留萌(るもい)本線」へ。

その名の通り、北海道北西部沿岸の港町、留萌市へ向かう路線でしたが、2023年3月に、途中の石狩沼田駅から留萌駅までの35キロが廃止されてしまい、深川から石狩沼田までのわずか14キロの「本線」となってしまいました。その残る14キロも、2026年には廃止されることになっています。

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