すき家「インフレ下で最高益」が示す不都合な現実 貧しい日本人は安いチェーンにしか行けない時代

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こうした郊外出店は、1990年代以降、日本でのモータリゼーションがますます進んでいく時代にもマッチした。

消費の中心が駅前から郊外へと移っていったからだ。その変化の受け皿がすき家だった。 

すき家の店舗外観。ドライブスルーを配置し、郊外の自動車需要にも対応する店舗が多い(筆者撮影) 

とはいえ全社的に見ると、海外事業が顕著に成長中 

さて、このように国内を中心とするすき家事業が好調なわけだが、実はゼンショーホールディングスを大きく支えているのが海外事業である。 

今回の第3四半期決算においても、寿司テイクアウト事業である「Snow Fox」や「Sushi Circle」「ZENSHI」を含む「グローバルファストフード」の利益の伸び率が前年同期比で177.3%増と、最も高い。 

このグローバルファストフードには「なか卯」や「ロッテリア」などの国内ファストフードも含まれるが、全体を見ると国内が974店舗なのに対し、海外が9763店舗と圧倒的に海外を柱とする部門だとわかるだろう。 

ちなみにグローバルファストフードの第3四半期営業利益は約222億円で、ゼンショーホールディングス全体の営業利益である約580億円の約38%を占める。

ちなみに前年同期はこの割合が18%(全体営業利益約363億円、グローバルファストフード営業利益約68億円)だったので、円安の追い風を受けたことを踏まえても、この1年での伸びが顕著である。 

こちらは、2025年3月期第2四半期の営業利益割合。グローバルファストフード(黄緑)がグローバルすき家(ピンク)を若干抜かしていることがわかる。左が前年同期のグラフで、この1年でのグローバルファストフードの伸びが好調なことが一目でわかる(ゼンショーホールディングス第2四半期決算資料より) 

店舗数もすごい。すき家なども合わせたゼンショーホールディングスの全店舗数が約1万5000店舗なのに対し、うち1万店舗ほどが海外店舗なのだ。

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