半身マヒの91歳男性、最期の墓参りで見せた"笑顔" 「死ぬ前に、どうしても一度、故郷に帰りたい」

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高校卒業後、自衛隊横須賀病院准看護学院に入校した佐々木看護師は、22歳から自衛官准看護師として、定年までを勤め上げた。55歳になった6年前には、神奈川県の介護施設に再就職し、看護部門の主任として活動した。

そして、還暦を迎えた2022年、ツアーナースの仕事を始めたのだった。

自衛隊にいた頃は災害地や海外の紛争地への派遣もたびたび経験した。派遣された現場では、想定外のトラブルが発生することもある。動じることなく、状況に合わせ、最大限対処する。それが自衛官看護師の任務だ。また、医療職とはいえ、自衛隊では日々の体力錬成が推奨される。時間を見つけてはランニングなどの運動に励んだ。

佐々木看護師は、体力と職務遂行力には自信があった。

移動手段は、改造を施した「福祉タクシー」

2023年の10月某日。東京から岐阜まで、1泊2日の旅に佐々木看護師は同行していた。移動手段は9人乗りのバンを改造した福祉タクシーだ。足の不自由な奥田さんは、車いすでの生活だ。タクシーに車いすごと乗せての旅である。

スロープなどの福祉機能がついている介護タクシー
スロープなどの福祉機能がついている介護タクシー(写真はケアミックス提供)/外部サイトでは写真をすべて見ることができません。本サイト(東洋経済オンライン)内でご覧ください

その日は、生憎の雨となった。

岐阜駅の近くで1泊し、朝一番で目的地の墓地へ向かった。メンバーはツアー利用者の奥田さんと、今回のツアーの手配をした司法書士の上山浩司さん。奥田さんの甥っ子、奥田大介(仮名)さんと、ドライバーの飯田(仮名)さん、それにツアーナースの佐々木看護師だ。

「この5人で、できるだけのことをやろう」

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