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「自分は出世の大通りにいない」30代で悟った元ホンダF1エンジニアが脱サラ→45歳で選んだ"意外すぎる"第二の人生

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是本健介さん
ホンダの開発者が異業種で起業することを選んだ理由とは?(写真:是本さん提供)

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東北大学大学院で博士号(航空宇宙工学)を取得し、ホンダ(本田技術研究所)で航空機エンジンやF1の開発に携わる。そんな経歴を持つ是本健介さんは、2015年、45歳で会社を辞め、長野県佐久市でチーズ作りの道に進んだ。会社の仕事には面白さを感じ、収入にも恵まれていたという。

なぜ、食品という異業種で起業することを選んだのか。趣味が仕事に変わるまでの歩みを聞いた。

研究者を目指していた青年がホンダに入るまで

「今思えば、本当によくやったなと思うんですけど」

チーズ職人への転身を、是本健介さんはそう振り返る。ホンダに勤めた約16年間、仕事がつまらなかったわけではない。自分で立てた仮説に基づいて設計し、試験を重ね、目標を達成する。その成果が製品につながる喜びは、確かにあった。

1969年、福岡県生まれ。子どもの頃から科学や乗り物が好きで、飛行機やスペースシャトルに興味を持っていた。祖父は船乗りで、父は海上自衛隊に勤務。自分も同じ道を期待されていたが、「泳げないので、空の方向に行っちゃった」と笑いながら話す。

東北大学大学院では、音速を超える空気の流れを扱う衝撃波工学を研究した。当初は企業への就職を考えておらず、大学や研究機関で基礎研究を続ける将来を思い描いていた。博士号を取得した後は、ドイツの大学で博士研究員として働く話が進んでいた。ところが、給与に充てる研究助成金が急きょ下りなくなり、渡航を断念。途方に暮れていた時に後輩が持ってきたのが、ホンダの技術者募集の案内だった。

募集していたのは、航空機用エンジンの開発者。航空機エンジンのファンの先端では、回転する際に音速を超える流れが生じる。「自分が学んだことを生かせるかもしれない」――もともとレーシングカーが好きで、ホンダにも関心があった是本さんは、思い切って応募した。99年、入社が決まった。

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