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政治・経済・投資 #日本の防衛は大丈夫か

世界標準から取り残された自衛隊の野戦医療、隊員の命を脅かす時代錯誤の装備と判断ミス、なぜ改革は進まないのか

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陸上自衛隊が採用したブッシュマスター装甲車の救急車型車両。自衛隊は採用していない(写真:筆者撮影)

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本稿の前編となる「『命を救う装備』があっても訓練ができない陸上自衛隊の深刻な実態、止血帯の不可解な特注仕様と調達への疑問」では、個人携行衛生品(ファースト・エイド・キット)が外部からの働き掛けで拡充されてもろくに訓練がなされず、またメーカーが使用は「一度きり」と明記している止血帯を輸入業者は何度でも使えると説明していること、しかもそれが特定業者しか輸入できない仕組みになっていることなどを報じた。

戦傷時の記録用紙も問題だ。戦傷病の記録の適否は、その後に400倍の差が出ると言われる。陸自ではこの処置の記録を書く用紙も時代遅れで、しかも日本語だ。国際的には戦闘や事態対処時の第一線救護では、世界標準の傷病者記録用紙TCCC(Tactical Combat Casualty Care)カードが使用される。これはアメリカ軍のDD1380様式がデファクトスタンダートとなったものだ。

空自はすでにこれに切り替えたが、陸自は以前と同じものを使用している。

戦傷病の記録用紙からみえる陸自の現実

陸自の記録様式は50年も前のベトナム戦争時のアメリカ軍の様式を参考としたものだ。受傷した場所と部隊行動について記入する欄があることが問題となった。敵の手に渡れば戦力を推察されてしまうからだ(陸上自衛隊仕様書 HM-T13053G 令和7(2025)年4月15日)。

NATO(北大西洋条約機構)軍や韓国軍、台湾軍はTCCCカードで標準化している。空自では航空総隊のみが2024年8月から使用しているが、日本語版を配って「必要事項を記入する」と示したのみで記入法は教育していない。空自全体で統一もされていない。

陸自は25年に再度、50年前の記録様式の調達をしており(先述の仕様書)、海上自衛隊は記録について考えてもいないことから、野戦診療記録の統合の意思はみられない。

仮にアメリカ軍などと共同作戦を行ったときに、自衛隊が処置した自衛官やアメリカ兵をアメリカ軍の施設が収容した場合に軍医が判断できない。アメリカ軍将兵を日本の衛生が処置しても同様になる。おそらくアメリカ陸軍や海兵隊は陸自と共同作戦をするつもりがないのだろう。

これは戦争でなくてもPKO(国連平和維持活動)などでも問題だ。自衛隊の衛生が他国の軍隊の衛生を教育しているが、これは悪い冗談にしか思えない。

アメリカ軍以外にも、陸自はイギリスやフランス、オーストラリアなど他国の部隊と頻繁に共同演習を行っているが、何を学んでいるのだろうか。学ぶ気がないなら共同演習は税金の無駄である。

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