入社後は、のちのホンダジェットにつながる航空機エンジンの試作開発に従事。ファン周辺の空気の流れや騒音、羽根の強度などに向き合った。目標を達成すれば、チームの仲間と飲みに行く。
「厳しさのなかにも、一緒にモノを作り上げる楽しさがある。ホンダは、私にとってそんな場所でした」
その後はF1の車体の空力開発へ。車体や翼の周りを流れる空気を考え、設計や実験を担った。
ホンダが08年末にF1から撤退すると、風洞と呼ばれる実験施設の建設でプロジェクトリーダーを務め、燃料電池車などの車体の空力開発にも携わった。
似た者同士の世界からビジネススクールへ
ホンダで一生をどう過ごすか、長期のキャリアを具体的に決めていたわけではなかった。目の前の仕事は大変だが、やり終えた際の満足感もある。会社の外で何かを始める選択肢は、その仕事を続けながら、少しずつ見えてきたものだった。
仕事の傍ら、07年には大前研一氏のビジネススクール(BBT大学大学院)に入学した。卒業生らによって、約1000社が起業した、超有名ビジネススクールだ。是本さんが入学したきっかけをさかのぼると、大学時代の恩師の言葉に行き着く。
「これからのエンジニアは、工学のことだけ知っていてもだめだ。もっと幅広く、いろいろなことを知らなくちゃいけない」
恩師に紹介された大前氏の本を読み続けていたところ、大前氏のビジネススクールの開校を知った。すぐに入る勇気は出なかったものの、2年ほどたって「面白そうだ」と踏み出した。働きながらMBAを取得する過程で得たのは、経営の知識だけではない。それまで出会わなかった人たちとの接点だった。


※ログイン後、コメント入力が可能です。