「僕は美味しいと思ったんですが、人にはあんまりウケなくて」
今野さんはそこで初めて、飲食店経営は「自分が美味しいものを作れば売れる」単純な話ではないことを実感した。
行列ができても赤字…
正直、ここで飲食への道を諦めてもおかしくない。しかし今野さんは、悩んでいた時期にたまたま大阪の人気いくら店に立ち寄り、刺激を受ける。帰宅して、早速地元で筋子を買い、自分でいくらに仕立てて、周囲の人にも振る舞った。
「いくら丼は10人食べたら10人めちゃめちゃ美味しいっていう反応でしたね」
カレーとは真逆の手応えに、今野さんは商材を、あっさりいくら丼に鞍替えする。
そして2016年12月、自由が丘にいくら丼専門店「波の」を開店した。一杯890円前後だったいくら丼はすぐに話題を呼び、警察が出動するほど行列が膨れ上がった。
「ところがね、開店した時期はいくらが割と安い時期で。相場に季節変動があることを知らなかったんです……」
秋はいくらの旬で価格も安い。しかし年が明け、春になると相場はみるみる上昇。気が付けば、「波の」の原価率は70〜80%まで膨らんでいた。これが要因で年間300万〜400万円の赤字を抱えることになる。
「行列ができたからって、儲かるわけじゃない」という冒頭の言葉は、このときの苦い経験からのものだった。これを機に今野さんの中で生まれたのが、「原価率は40%を超えてはいけない」というルールだ。だが、飲食店の平均的な原価率はだいたい30~40%で、40%を上限とするのは高めの設定だ。


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