東京都渋谷区にある「アパホテル〈渋谷道玄坂上〉」。8月の平日、チェックイン時間帯の午後3時を迎えると、国内外からの利用客がキャリーケースなどを手に次々とロビーにやってきた。スタッフの声かけやサポートを受け、スムーズに客室へと向かっていく。
フランチャイズ(FC)も含めたアパホテルの中で、渋谷道玄坂上の収益力は全国トップだ。ホテル業界で重要視される指標の「RevPAR(レブパー)」は2万円を超えている。RevPARは平均客室単価と客室稼働率の掛け算で算出される1部屋当たりの売り上げを指す。直営アパホテルのRevPARは2025年11月期で1万1000円だった。
アパホテルでは、需要に応じて販売価格を変動させるダイナミックプライシング(変動価格制)を導入しており、各ホテルの支配人には社内規定の範囲内で料金を決める裁量が与えられている。一般的に、客室単価を下げれば稼働率が上がり、引き上げれば稼働率は下がる。柔軟に販売価格をコントロールすることが、RevPARを最大化するうえでのカギとなる。

渋谷道玄坂上の改装による売り止めの影響を除いた客室稼働率は「100%超」だった。この高稼働率を裏で支えているのが、アパホテルのフロントシステム「APA@ONE」だ。過去・現在・未来の売り上げや稼働率、アパホテル会員の情報など、実績の確認に加えて分析や予測ができる。客室の在庫や料金は各宿泊予約サイトと連動しており、システムを通じて料金を変動させられる。
「豊富なデータから需要を予測し、売り上げの最大化を図ることは支配人の大切な使命。直近の動向はもちろん、半年以上先の日程まで毎日欠かさずデータを確認・分析する。さらに、イベント情報や近隣ホテル、同業他社の動向などもこまめにチェックし、日々の販売戦略に生かしている」。渋谷道玄坂上の山﨑龍市郎支配人はそう説明する。
山﨑支配人は19年入社の29歳。「ホテル業界の中でも群を抜いて急成長を遂げている点と、業界に先駆けて独自のDX化を進める革新性に魅力を感じた」ことが入社理由だ。25年7月から渋谷道玄坂上で現職に着任し、支配人を務めるのは2カ所目となる。アパグループには「ポジションが人を育てる」「能ある鷹は爪を出せ」という言葉があり、若手登用にも積極的だ。
客室回転率を上げる「1秒チェックアウト」
渋谷道玄坂上の「客室稼働率100%超」を支える仕組みはもう1つある。「アパトリプルワンシステム」だ。アプリを活用した「ワンステップ予約」、アプリチェックインの「1秒チェックイン」、エクスプレスチェックアウトポストの「1秒チェックアウト」から構成される。
この記事は有料会員限定です
残り 3919文字

