一方で、母親が営むサロンの集客を手伝う中、広告媒体のホットペッパーを目にする。当時は500ページ近い厚さがあり、「これを地域密着型にしたら、自分でもできるんじゃないか」とひらめいた。
今野さんはフリーペーパー制作へと乗り出し、2006年、地域密着型のフリーペーパーを発行する株式会社ブロケードを設立。横浜からスタートし、自由が丘、恵比寿、銀座へとエリアを広げ、最盛期には17エリア、月30万部を発行するまでに成長した。
地下にあって集客に苦労していた店を取材で紹介したところ、一気に人気店になったことがあったそうだ。
「『美味しい』『きれい』っていう言葉は、意味があるようで意外と伝わらないんです。それより店主の話を聞いて、『○○産の食材を使っている』と書いた方が、読んだ人は具体的に想像できて、『美味しそう』と思ってくれると感じました」
この視点は、後の飲食事業にも生きていく。しかし、スマホの普及とともにフリーペーパー市場は縮小し始めた。「紙の時代は終わる」今野さんはそう考え、次の事業へと舵を切った。
人にウケないカレーが始まり
次に挑戦したのが、飲食店経営だ。
どんな店をやるか悩んでいた今野さんが選んだのは、昔から好きなカレーだった。きっかけは、行きつけの鉄板焼き店で見た近江牛の使い方だ。一頭買いした牛の中でステーキには使いにくい部位を、カレーに活用している姿を見て、「これは面白い」と感じたという。
芝浦の業者から黒毛和牛A4・A5等級の牛骨をキロ150円ほどで仕入れ、骨から出汁を取ったビーフシチュー風のカレー作りに取り組んだ。試作を重ねた商品は、まず兄の居酒屋のランチ営業で提供するところから始まった。ところが、黒毛和牛の旨味を詰め込んだ自信作だったにもかかわらず、反応は思ったほど良くなかった。


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