競争が激しい中国市場では、集客力のある商業施設の好立地や店舗スタッフも奪い合いになる。食材調達や物流網の構築も課題となりやすい。コロナ禍や日本産水産物の輸入停止のように、企業側の努力だけでは避けられない逆風もある。
そうした状況で、スシローの中国店舗は進出から5年足らずで100店舗を突破し、9月末時点で135店舗まで拡大した。
加藤副社長は、2026年9月期上期の決算発表会で「多くのモールから出店の誘いを受けているが、人員の確保・育成状況も見定めながら厳選している」と説明した。
景気減速で商業施設間の集客格差が広がり、以前から中国で展開しているユニクロや無印良品は不採算モールからの撤退を進めている。そんな中でもスシローはモールにとっても集客の核とみなされ、出店条件の交渉でも優位に立ちやすく、好循環が生まれていると考えられる。
しかもスシローの海外展開は、日本の外食チェーンの最近の潮流とは異なり、ある種「古典的」に見える。
日本の外食チェーンでは、中国でスピーディーに出店するため、現地を熟知した企業と組んでフランチャイズで展開する手法が広がっている。
トリドールも、9月28日に上海に出店したミスタードーナツも、中国再進出にあたって現地企業とのマスターフランチャイズ契約を採用している。こうした展開では、出店やローカル化などの権限を現地側に持たせるケースが多い。
一方、スシローは日本の店舗や味をそのまま再現することにこだわり、海外でも直営を原則としている。F&LC広報室は「スシローの店舗で経験を積んできた人材が中心となって、海外のエリア責任者に就いている」と話した。
小さく始め市場を学ぶ
出店の進め方も「古典的」だ。
スシローの海外初進出は2011年の韓国だったが、展開が本格化したのは2018年の台湾進出以降。2019年には香港とシンガポールに出店し、2021年に中国本土へ足を踏み入れた。
台湾や香港で経験を重ねてから中国本土へ北上していく。その進出の順序は、台湾や香港を本土へのゲートウェイとした、1990年代の吉野家や味千ラーメンの展開と重なる。


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