有料会員登録
政治・経済・投資 #新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場

同じ利上げ決定でもアメリカは「中央銀行が一致団結」、一方の日銀は圧力に屈し、国のトップには危機感なし、もはやこれは国難だ

11分で読める
アメリカに続き日銀も0.25%の利上げを決定。だが、日米2つの中央銀行の置かれている状況、センチメント、気持ち、気構えはまったく違う(写真:ブルームバーグ)
  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授

INDEX

FED(アメリカ中央銀行)は、16日(日本時間17日)、政策金利0.25%引き上げの決定を発表し、日銀も18日に金融政策決定会合を行い、短期金利を0.25%上げることを決定した。

日米ともに0.25%の利上げとなったが、2つの中央銀行の置かれている状況、彼ら自身のセンチメント、気持ち、気構えはまったく違いそうだ。

どういうことか。

「ウォーシュ流」にトレーダーたちだけでなく、記者たちまで反対に回った

ケビン・ウォーシュFRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見は、前任の(ジェローム・)パウエル時代と異なり、まるで和やかな雰囲気がない。一体感がなくバラバラだ。パウエル時代、特に終盤は「反(ドナルド・)トランプ(大統領)」で、「パウエルFED」と記者たちが一致団結して戦っているように見えた。

ウォーシュ議長のデビューとなった、6月のFOMC(連邦公開市場委員会)後の記者会見では、華々しいデビューを飾ったが、「<浮気を疑う疑心暗鬼の末期のカップル>状態だった中央銀行と市場の関係を終わらせ、ウォーシュFRB新議長が開く新時代」(6月21日有料配信)、でも書いたように、中央銀行と投資家の間で、腹の探り合いをするより、正面から、お互い、経済、金融市場を純粋に観察し、その実態の観察に基づく、意見交換、見通しのぶつけ合いを、市場と金融政策でやり合おうじゃないか、という考え方は素晴らしかったし、何より正しかった。

私は猛烈に支持したが、トレーダーたちは不満を爆発させた。FEDの意向、FRB議長の心のうち、それを先読みする、あるいは、先読みしていると見せかけて、市場のトレードを動かすことで飯を食っている人々だから、自分たちの飯のタネをこの世から消そうとしているウォーシュ議長を許せなかったのだ。

残念なことに、世界のセントラルバンカーたちだけでなく、エコノミストや記者たちも、基本的にはウォーシュ議長の考え方を当初は支持していたが、マーケットの圧力にやられ、こちらは、戸惑うペリカン状態になった。

6月のウォーシュ議長のデビュー記者会見では、FEDのこれからのコミュケーションのあり方、その改革、それ以外のFEDの大改革について、ウォーシュ議長が熱く語り、記者会見も盛り上がったが、7月になってみると、メディア記者たちは、「コミュニケーションしないというコミュニケーション」に戸惑い、記者会見で質問をしても、ほとんどのことに答えず、記事にならない。「もしかして、これは、仕事がなくなるのは、トレーダーではなくて俺たちだったのか!」と気づき、不満がたまっていった。

2/5 PAGES
3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数