ウナギ屋にとって、1年でいちばんのかき入れ時となる、夏の「土用の丑の日」。うな重チェーン「鰻の成瀬」のフランチャイズ(FC)加盟店が繁忙期を迎えていたころ、運営会社は株式譲渡をめぐる争いの渦中にいた。
8月10日、東証スタンダード市場上場の投資会社AIフュージョンキャピタルグループ(以下、AIF)は、鰻の成瀬を全国展開するフランチャイズビジネスインキュベーション(以下、FBI)を完全子会社化した。
事の発端は春先にさかのぼる。AIFが3月31日、FBIの山本昌弘社長とほか株主1名の全FBI株58%を取得すると発表。これに対し、ほかの株主らは株主間契約に反するとして反発した。4月10日、東京地裁が譲渡禁止の仮処分を決定する事態となったが、譲渡は同日中に完了した(詳細は東洋経済オンライン「【独自】うな重チェーン『鰻の成瀬』運営会社の身売り話で法廷闘争が勃発」参照)。
親会社となったAIFは当初、この状況について「本譲渡株主(山本社長ら)と本譲渡株主以外の株主との間での効力にとどまり、第三者である当社には上記決定(仮処分)の効力はない」との見解を示していた。だが最終的には、残りの株主が持つFBI株42%をすべて有償で取得することで和解を見た格好だ。

山本氏は、持ち株がゼロになった後もFBI社長を継続。一方で8月24日にはAIF側から新たに代表取締役が加わり、2人代表制となった。
全国レベルの外食チェーンが安値で売却か
AIFが4月に取得したFBI株58%の価額は計5805万円。8月の42%の取得価額は非公開とされている。ただ4月時点の金額から単純計算すると、当時の株式価値は100%換算で約1億円。業界や市場からは「全国レベルの外食チェーンとしては売却価格が低すぎるのではないか」との声が上がっていた。
複数の関係者によれば、当時FBIはほかの企業とも売却を協議していた。交渉次第ではより高値で売れる可能性もあった中、なぜ安値での身売りとなったのか。
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