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「二度と来るもんか」から40年、定年直前にミャンマーで起業した64歳が政変の混乱下で高品質ゴマ油を広めた「仕掛け」

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ヤンゴン市内の工場にある生産現場(写真:筆者撮影)
  • 西垣 充 ジェイサット(J-SAT)代表

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1981年に初めてビルマ(現在のミャンマー)を訪れたときは、「二度と来るものか」と思った——。 

それから約40年を経た2020年、市橋卓也さん(64歳)は定年を前に勤めていた会社を退職し、ミャンマーで食品会社「Miyako Food Myanmar」を設立しました。手がけているのは、ミャンマー産のごまを使った一番搾りのごま油です。

目指すのは、ミャンマーの人々の健康に貢献するとともに、農産物を原料のまま輸出するのではなく、現地で付加価値を生み出し、その成果を生産者や働く人々、消費者へ還元する仕組みをつくることです。そして、農産物を通じてミャンマーの魅力を世界に広く発信できる会社に育てたいといいます。

軍事クーデター後も事業を続ける市橋さんを支えているものは何か。ミャンマーとの出会い、ごま油事業の原点、農家への思い、そして10年後に描く会社の姿までを聞きました。

カメラを盗まれたうえにひどい下痢…

市橋さんが初めてビルマを訪れたのは、高校卒業後の1981年です。父親の仕事の関係でシンガポールの全寮制インターナショナルスクールに通っていた市橋さんは、日本へ帰国する前に友人たちと現地を訪れました。

当時の旅行ガイドには「仏教の国」「泥棒のいない安全な国」と書かれていました。ところが、ホテルでは空き巣に遭い、市橋さんはカメラを、友人はパスポートを盗まれました。食あたりで、ひどい下痢に苦しみ、出国時には滞在費について空港で尋問も受けました。

「飛行機がラングーン(現・ヤンゴン)を飛び立ったときは、無事に出国できたという安堵しかありませんでした。『もう二度と来ない』と強く思いました」

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