市橋さんは、農家の笑顔を増やし、所得の向上につなげるには、農産物の価値をどう高めればよいのか。その魅力を最大限に引き出すには、何が必要なのか。農家とともに答えを探るため、いまも頻繁に生産地へ足を運び、対話を重ねています。
生産者の顔が見えるように
「事業を続けるうえで大切にしているのは、生産者と消費者の双方に笑顔を届けられる商品づくりです。消費者には、香りや味わいだけでなく、日々の食生活をより健やかにする選択肢として、ごま油を届けたい。一方、生産者とは、より良い農産物を生産し、そこから生まれる利益を分かち合える関係を築きたいのです」
その先に、市橋さんが思い描く未来があります。
「どの畑で、誰が育てたごまなのかを言い切れる商品にしたい。農家自身にも、自分たちが育てた原料に誇りを持ってほしいのです。『MIYAKO』と取引したことで、農家の子どもが留学できた、車を買えた。いつか、そんな変化が生まれたらうれしいですね」
「『MIYAKO』を、生産者である農家や工場で働く従業員とともに育て、価値を高めていくブランドにしたい。そして、ミャンマーの魅力を広く伝えられる会社へ成長させたいと考えています。将来的には、農家や従業員にも会社の株式を持ってもらい、企業価値やブランド価値を高めることで得られた恩恵を、皆で分かち合える仕組みをつくることが理想です」
ミャンマーと関わり続けて45年。市橋さんには、日本からこの国に関わる人々に忘れてほしくないことがあります。
「長い歴史で見れば、どの国にも良い時期と厳しい時期があります。ミャンマーも、植民地時代、社会主義体制、長期にわたる軍事政権、民政移管を経て、21年のクーデター後は再び軍が実権を握るなど、大きな変化を経験してきました。
それでも、人々は日々の暮らしを守り、経済活動を続けています。その時々の『良い』『悪い』だけにとらわれず、自分が大切にしたいことや守りたいものを見極め、挑戦してほしいと思います。また、事業や仕事、ボランティアなどでこの国に関わる以上、規模は小さくても何かを還元し、貢献する気持ちを持って取り組んでいただきたいです」
「2度と来ない」と思った国で、市橋さんはいま、農産物が原料のまま国外へ輸出される構造を変えようとしています。目指すのは、現地で付加価値を生み、その利益を農家や従業員と分かち合う仕組みです。政変と経済の混乱が続くミャンマーで、会社を早期退職して始めたこの挑戦は、ごま油の先にどのような未来を切り開くのか。64歳の市橋さんの新たな歩みは、まだ始まったばかりです。
Miyako Food Myanmar (日本公式サイト)https://miyakofood-mm.com/、info@miyakofood-mm.com
日本からは、公式サイトを通じてオンラインで購入できます。


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