台湾海峡情勢などをめぐって日中間の外交関係が冷え込んでいるが、世界的なAI(人工知能)ブームを受け日本から中国への半導体輸出が急増している。
在中国の日系企業団体である中国日本商会が6月11日発表した「中国経済-日本企業白書」2026年版で指摘した。この中で日本の財務省通関統計および中国税関統計を引用し、25年の日本の中国向け集積回路(IC)輸出額は前年比47.9%増の286億6300万ドル(約4兆6000億円)に達したことを紹介。この結果、中国向けIC輸出が対中輸出全体に占める割合も5ポイント上昇して17.4%に達し、輸出品目の首位の座を維持した。
一方、品目別で第2位の半導体製造装置の対中輸出は139億7300万ドル(約2兆2400億円)と、前年比2.3%減少した。対中輸出総額に占める比率は8.5%だった。
25年の日中間の貿易総額は、3年連続の減少から増加に転じ、前年比6.2%増の3432億5400万ドル(約55兆1000億円)に達した。対中貿易収支は4年連続で赤字となり、赤字額は132億7000万ドル(約2兆1000億円)にのぼった。
AI向け需要急増でメモリー半導体好調
日本からの中国向け集積回路販売額が増加した主な要因として、中国の半導体調査会社「芯謀研究」の企業部門責任者を務める王笑龍氏は財新の取材に対し、AI産業の好況が半導体および関連電子部品の需要を押し上げたとの見方を示した。日本が得意とするNAND型フラッシュメモリーを含むメモリー半導体は単価が急騰しているほか、セラミックコンデンサーなどの半導体用部材も需給が逼迫している。
一方、日本の半導体製造装置の対中輸出が減少した原因について、王氏は2点を指摘した。第一に、日本政府がここ数年、中国向け輸出規制を強化したことにより半導体製造装置もその影響を受けたこと。第二に、AI向け計算能力(コンピューティングパワー)需要の急増を背景とし、台湾積体電路製造(TSMC)、韓国のサムスン電子やSKハイニックス、アメリカのマイクロン・テクノロジーなど大手半導体メーカーからの設備発注が大幅に増加した結果、日本の装置メーカーは限られた生産能力の下でこれらの大口顧客向けの供給を優先、中国顧客からの一部受注を断念せざるをえなかったという。

