台湾の行政院長(首相)である卓栄泰氏は6月4日、「ゾンビたばこ」と呼ばれる違法薬物エトミデートの取り締まりを大幅に強化する方針を表明した。背景には近年、エトミデートの乱用が急速に拡大し、これに起因する重大な交通事故や死傷事故が相次いで発生したことがある。社会では厳罰化を求める声が高まっていた。
台湾の法務部(法務省)は、エトミデートの規制区分を現在の「第2級薬物」から、最も危険性が高い「第1級薬物」へ引き上げる案を毒品審議委員会(毒審会)へ提出した。格上げが正式に承認されれば、製造、運搬、販売に関与した者に対し、死刑または無期懲役を含む最高刑の適用が可能となる。
また、若年層や学校現場への浸透についても、立法院(国会)や政府関係者の間で深刻な問題として認識されていた。
規制強化を急ぐ台湾政府
教育部(教育省)は関係機関と連携し、薬物使用の兆候が見られる生徒への対応を強化する方針だ。従来の尿検査に加え、唾液による迅速検査の活用も進め、早期発見やカウンセリング、社会復帰支援につなげる体制を整備するとしている。
さらに卓氏は、薬物運転に対する行政処分と刑事罰の強化について、交通部(交通省)と法務部(法務省)に対し、『道路交通管理処罰条例』および『刑法』の改正案をできる限り早く行政院へ提出するよう指示した。
具体的には、薬物運転を行った者の運転免許を取り消し、3年間は再取得を認めない方針である。さらに、薬物運転によって人を重傷または死亡させた場合や、複数回の累犯者については終身にわたる免許取得禁止を導入する方向で検討が進められている。
罰則も大幅に引き上げられる。累犯者には違反1回ごとに9万台湾ドル(約43万円)の罰金を追加し、その累積上限を設けない方針だ。また、運転者が薬物を使用していると知りながら同乗した者に対しては、新たに6000台湾ドルから1万5000台湾ドル(約2万8000円~7万2000円)の過料を科す規定を設けるとしている。
さらに、薬物運転に使用された車両については、所有者が誰であるかを問わず没収できる制度の導入も検討されている。政府は「薬物運転ゼロ容認」の姿勢を打ち出し、関連法令の改正を急ぐ構えだ。

