東洋経済オンラインとは
ビジネス

1日6000個売れる「元祖塩パン」、レシピを無料公開した愛媛のパン屋が明かさぬ《2つの秘密》

9分で読める
塩パンはいまや国際的なパンになりつつある(写真:筆者撮影)
2/5 PAGES
3/5 PAGES

最初は地元の漁師や女子高生の口コミから始まり、そこから主婦、そして地元で愛されるパンとなっていったのだが、今から約10年前に地元テレビ局やNHKに取り上げられ、徐々に全国区へ。2019年頃には大ブームとなり、多くのパン店や企業が「塩パン」を販売。コンビニやスーパーでも当たり前に見られる商品となった。そして、いまや国境を超え、韓国やバンコクでも──。

「それだけ広まったのは、僕が作り方を全部明かしちゃったからですよ」と語る将武さんだが、なぜ、レシピの囲い込みをしなかったのか。

「まず、食品の場合は材料表示があるので、そもそも特許が取りにくいという業界の事情もありました。ですが、もともと最初から、父も僕も特許を取るつもりはありませんでした。塩パンを、できるだけ多くの方、全国の皆さんにも食べてほしかったからです」

ある日、東京からのツアーで、話題を聞きつけた東京のパン業界の人たちが将武さんのもとを訪れたことがあったという。当時、将武さんは「パン・メゾン」の松前(まさき)店で働いていたのだが、そこで将武さんは、惜しみなくレシピを伝えた。

「僕も他所のベーカリーへ行って、いいなと思った商品をリスペクトし、自分なりにアレンジして作ることがあります。地元の人たちに、焼き立ての美味しいパンを食べてもらいたいという気持ちは、僕もよく分かりますので……。ですから、はい、どうぞとお話しさせていただきました」

パン・メゾン八幡浜本店の店内。塩パン以外にも売り切れが続出する(写真:パン・メゾンInstagramより)

結果的に、それがプラスへと働いた。そこから一気にブームになり、全国で塩パンが作られるように。そして、元祖がパン・メゾンのものだということを知った人たちが、「そもそもの元祖の味を食べたい」と、さらに愛媛へ買いに来るようになった。レシピを囲い込まなかったことが、利益を生み、最大1日6000個という異例の売上を生んだのだ。だが……?

「実は、絶対に明かしていない部分もあるんです」と将武さん。大切なレシピは明かしたというのに、何を話していないのか? どんな秘密があるのだろうか。

秘密という"ミステリアス“さが、「価値」に転換される

「まず、秘密にしているのは、使っている岩塩です」と将武さん。実はこの塩パン、開発時にぶつかった壁は、「どの岩塩がいいのか」だった。焼くと熱で溶ける、塩味が強すぎる──さまざまな試行錯誤の上で、辿り着いた味だったからだ。それと、使っている「粉」も。これに関しては、種類やオリジナルブレンドの配合の割合を含め完全に秘密にしており、卸業者にも口止め。その種類と配合のものは、他に卸せないようにしてあるという。

塩パンに使われている岩塩と「粉」は明かされていない(写真:kai / PIXTA)
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象