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地域活性化のカギを握るのは
「人材」と「地域金融機関」

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
安倍内閣の重要政策の一つである地方創生の関連法案が10月15日、衆議院で実質的に審議入りした。石破茂地方創生大臣がこの中で、既存の法律の見直しを積極的に検討する考えを述べるなど、政府は強い決意を示している。これを支えるように、民間企業でも地方創生の動きが起こりつつある。大手監査法人のトーマツは今月「トーマツ地域金融活性化推進室」の立ち上げに向けた最終的な調整に入った。「民」ならではの地方創生とはどのようなものなのか。

トーマツが、地方創生を支援する
「金融活性化推進室」を設立へ

有限責任監査法人トーマツは、「トーマツ金融活性化推進室」の立ち上げ準備を急ピッチで進めている。折しも「まち・ひと・しごと創生法案」など地方創生関連法案が衆院で審議入りしたばかりである。

有限責任監査法人トーマツ
パートナー
木村充男 氏

同法人金融インダストリーグループ パートナーの木村充男氏は、「時期が重なったのはたまたまです。当法人では従前から設立の準備を進めていました。もちろん、政府の『まち・ひと・しごと創生本部』が設置されたこともあり、民間の立場から、地域活性化を支援していきたいと考えています」と話す。

木村氏によれば、「トーマツ金融活性化推進室」は、会計、税務、コンサルタントなど、多くの機能(ファンクション)と全国をカバーする拠点を持つトーマツの特長を活用し、幅広い問題解決力を提供するのが狙いだという。具体的には、有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー、税理士法人トーマツなどトーマツグループの各ファンクションおよび全国の拠点の知見を集約し、地域金融機関などのサポートを通じて、地域経済の活性化を目指す。

特筆すべきは、同推進室の設立の趣旨に「地域金融機関のサポート」が明示されている点だ。その理由を木村氏は次のように説明する。「地域経済を活性化させるためには、各地域で産業を育てることが重要です。そのためには、ベンチャー企業や中堅中小企業などに対してリスクマネーが流れる仕組みが不可欠です」。

かつては、地域の地方銀行や信用金庫、信用組合などがその役割を担っていた。だが、金融庁が7月に発表した「金融モニタリングレポート」に記されているように、最近の地域銀行はむしろ、信用力の懸念が相対的に小さく融資審査にコストがかからない貸出にシフトしている。「融資審査にあたって、借手企業の過去の財務諸表や担保に依存する傾向があるのも課題」と木村氏は指摘する。

地方活性化のためには、
産業を生み出す若手経営者の育成が重要

地方創生関連2法案の審議の場で安倍晋三首相は、「ばらまき型の投資は断じて行わない」と強調した。

では、ばらまきではない投資とはどのようなものなのだろうか。有限責任監査法人トーマツ 金融インダストリーグループ パートナーの森川祐亨氏は「大切なのは『人』です。仕事をつくるのは人にほかならないからです」と話す。

有限責任監査法人トーマツ
パートナー
森川祐亨 氏

森川氏が力強くそう語るのには理由がある。トーマツは東日本大震災の復興支援に主体的に取り組んでいるのである。被災3県(岩手県・宮城県・福島県)すべてに事務所を有するトーマツに与えられた社会的使命であるという考えのもと、トーマツグループ各社から専任・準選任をあわせ30名の各分野の専門家を集めた「復興支援室」が組織されている。同支援室では、被災企業に対する復興・再生支援のほか、起業家・ベンチャー支援、自治体の復興・民営化支援、プロボノ(社会貢献)的支援などを行っている。

起業家・ベンチャー支援もいくつかの取り組みが進んでいるが、その一つ「東北未来創造イニシアティブ」が運営する「人材育成道場」にもトーマツグループの「復興支援室」が参画している。ここでは、気仙沼・釜石・大船渡において、「個別伴走型メンタリング(支援)」により、地域を創造する塾生の事業構想の具現化を全面的にサポートしているほか、卒業後も、事業構想の実現に向けて、継続したフォローを行っている。

森川氏は「私自身がメンター(知識や経験の豊かな支援者)として復興支援に携わる中で、あらためて、人の持つ可能性を感じました。いいモノをつくっても、人と人のつながりがなければ売れません。産業を生み育てるためには、あくまでも人に注力すべきです」と話す。

復興支援を通じて、日本の地域が抱える課題も見えてきたようだ。「被災地における震災後の人口減少や経済圏縮小という現象は、そのまま日本の他の地域が将来直面する課題を映し出していると言えます。いまから始めないと、手遅れになりかねません」(森川氏)。

全国に、人材育成や企業同士のマッチングの場をつくる

実際に、「トーマツ地域金融活性化推進室」ではどのような取り組みを進めようとしているのか。木村氏は「地域経済活性化を達成するには、地域での経営の担い手を増やすことが急務。さらに、その人材育成の場に地域金融機関が積極的に携わる仕組みをつくっていきたい」と話す。

木村氏によれば、各地域の経済に関する情報が自治体や地域金融機関、商工会議所などに存在する一方で、地域のベンチャー企業や中堅中小企業の経営者、あるいは大都市圏の産業界や投資家などとの連携は十分とは言えないという。さらに前述したように、金融機関の中にも、企業の将来の目利きができる人材が不足している。

森川氏は「地域金融機関に加え、当社グループはじめとする民間企業の知見を結集し、地域の将来を担う人材を育成することを目指します」と説明する。

全体像としてのスキームも描かれつつあるようだ。たとえば、地域金融機関や商工会議所などが事務局となり、地域の人材育成の場をつくり、ベンチャー企業の経営者や二代目経営者などの育成を行うとともに、新規事業の創出などもきめ細かくサポートしていく。

若手経営者向けのセミナーや講演会は数多く開かれているが、実務的な効果という点では疑問だ。それに対してトーマツでは、事業化につながる具体的な運営助言のほか、大手企業とのマッチング、将来のIPOなども含め、地域活性化につながる実践的な仕組みづくりを支援していく考えだ。

木村氏は「まずは有力な地銀とともに、いくつかの拠点に事務局を開設したい。いずれは、全都道府県に展開するのが目標」と力を込める。

大手監査法人として
地域活性化支援の知見を蓄える

政府が重要視するように、地方の人口減少問題や活性化対策は喫緊の課題であることは間違いないが、この解決のために「民」の側から、さらに大手監査法人が行動を起こしたという点は注目に値する。

木村氏は「もはや、監査法人が監査だけをやっていればいいという時代ではありません。企業の成長、ひいては地域や国の成長戦略に寄り添いながら、私たちならではの提言を行うことが求められていると感じています。『官』とは異なる『民』ならではのサポートを実現したいと考えています」と話す。

地方自治体は少子高齢化傾向など厳しい状況にさらされている。予算も限られている中では、民間との連携が不可欠になるだろう。と言っても、金融機関など民間企業を取り巻く環境も楽観できない。地銀の再編などの話題を聞くことも多くなっている。

森川氏は「市場が縮小するから金融機関を減らそうというのは後ろ向きに思えてなりません。地域を代表するような企業がこれからたくさん生まれてくれば、資金需要も増え、雇用も創出できます。当グループではそのような本来あるべき地域活性化を実現したいと考えています」と話す。

東日本大震災の復興支援などにおけるトーマツの取り組みを見ると、それが決して夢ではないことがわかる。大手監査法人が、このような地に足の付いた支援を行い、すでに知見を蓄えているというのも頼もしい。「まち・ひと・しごと創生」など地方創生の支援においても、大いに期待が高まるところだ。

これまで4回にわたり、「世界で負けない金融機関の条件」と題して、日本経済のさらなる発展のために、金融機関が果たすべき役割や解決すべき経営課題、先進的な取り組み事例を有識者に解説してもらった。金融機関の関係者はもちろんのこと、多くのビジネスパーソンにとって参考になったのではないだろうか。