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世界でブーム「全人格で競う教育」の過酷な実態 シンガポールで「習い事競争」が起きる理由

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  • 中野 円佳 東京大学男女共同参画室特任助教

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シンガポールの習い事事情からみる、「全人的教育」の問題点とは?(写真:筆者提供)

「中高一貫の難関校への中学受験に成功させるには」「わが子を東大に入れた母親の教育」――。

依然として偏差値の高い学校がもてはやされる反面、「勉強さえできればいい」「偏差値の高い大学に入りさえすれば一生安泰」とは、誰も思っていないだろう。

今、日本の教育関連の書籍や記事を見ると、新しい言葉が洪水を起こしている。「これからは、非認知能力」「グローバル化やAI時代に対応した教育とは」「STEAM(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics)が大事」――。

さまざまなキーワードで、“新しい能力”や教育改革の必要性が訴えられる。つねに”新しい時代”と対応の必要性が語られるのは今に始まったことではないが、コロナ禍も重なり、不安を煽られ続けている親も少なくない。

しかも気になるのは、ペーパーテスト型の“旧来型学力”から“新しい能力”へ転換すればいい、というわけではなく、どうも“旧来型学力”に加えて“新しい能力”も身につけよ、と”要求”されていることだ。

いったい“新しい能力”を巡る競争は今、どうなっているのか。この競争がすでに本格化しているのが筆者の住むシンガポールだ。現地の事例より、この現状と課題について考察してみたい。

旧来型の学力”以外”の強化とは…

まず、この“新しい能力”議論が巻き起こっているのは、日本だけではない。

この連載の初回記事で、アメリカで起きた大学入試不正事件について取り上げた。そこからもわかることだが、大学入試はスポーツ推薦や生徒会活動やボランティアなど“主体的“な活動を巡る評価にまで入りこみ、より「全人格的」なものになっている。

OECD(経済協力開発機構)は「21世紀コンピテンシー」という概念で他者と協働したり、知識や技術を活用したりする能力を推奨。学力調査のPISAでも、創造的問題解決力といった、”21世紀型学力“を測ろうとしている。

2015年からPISAは、他者と会話をしながら課題に取り組む力を見る「協同問題解決能力」という問題を導入。筆者が今住んでいるシンガポールは、この科目で1位をマークした。

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