もっとも、長津田の競争環境が緩いわけではない。今回の店舗は、長崎ちゃんぽんの「リンガーハット」、つけめん・ラーメンの「舎鈴」と並んでいる。つまり、麺類を扱うチェーン同士が真正面からぶつかる格好だ。野菜をたっぷり食べたいならリンガーハット、濃厚なつけめんを食べたいなら舎鈴という選択肢がある。その中でスガキヤが選ばれるには、価格の手頃さだけでなく、ほかの2店にはない魅力が必要になる。
ラーメンだけではない、強力な武器
ただ、筆者はこの勝負には十分に勝算があると考えている。スガキヤには、ラーメンだけではなく、ソフトクリームなどの甘味という強力な武器があるからだ。
一般的なラーメン店は、昼食と夕食の時間帯に売り上げが集中する。午後2時から5時頃は客足が落ちるため、営業時間を区切って中休みを設ける店舗も少なくない。
しかし、商業施設のフードコートは事情が違う。午後3時でも買い物客が行き交い、休憩を求める人や、おやつを食べたい家族連れが一定数存在する。
つまり、ラーメン店にとってのアイドルタイムが、甘味を扱うスガキヤにとっては新たな商機になるのである。ラーメンを食べた後にソフトクリームを楽しむ人もいれば、甘味だけを目当てに来店する人もいる。フードコート内のカフェやスイーツ店と競合しながら、ラーメン店としての食事需要も取り込める。
この二刀流こそ、スガキヤが持つ大きな競争優位性ではないだろうか。スガキヤにとって甘味は後付けの商品ではなく、創業以来の事業の柱である。すでに確立された商品とオペレーションを活用しながら、食事以外の需要を獲得できるのは大きい。
今回の長津田店で、平日のアイドルタイムにも長い行列ができていたことは象徴的だ。もちろん、オープン直後の話題性による集客という側面はあるだろう。しかし、今後この時間帯に甘味を求める顧客を継続的に取り込めれば、一般的なラーメンチェーンとは異なる収益構造を築ける可能性がある。
今回の再進出では、商品構成にも工夫が見られる。長津田店と本厚木店では、一部店舗で人気の「ザクザクポテト」「カリカリチキン」を販売。さらに「スーちゃんコロッケ」や、持ち帰り用の「スーちゃんのミルクプリン」も用意する。ラーメンと甘味に加えて、軽食やテイクアウト需要を取り込もうという狙いがうかがえる。



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