「成績優秀者と管理者の関係が逆転し、指導が困難」
10月8日にプルデンシャル生命保険が公表した調査報告書に、こんな一文がある。稼ぐ営業社員に、上司が注意できなかったというのだ。
この一文を読んで、私はニデックのことを思い出した。保険会社とモーターメーカー。営業の不正と、会計の不正。業種も不正の中身もまったく違う。それなのに、組織の壊れ方がよく似ているのである。
そこで今回は、プルデンシャル生命とニデックに共通する「空気」について解説する。自分の職場は大丈夫かと気になっている経営者や管理職は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
2社で何が起きたのか
まず、事実を整理していきたい。
プルデンシャル生命では、営業社員らがお客様から不適切に金銭を受け取っていた。報告書によれば、その額は申告ベースで61億6600万円にのぼる。同社は157人を処分し、うち64人を懲戒解雇・諭旨解雇とした。報告書公表の翌日には、金融庁が業務停止命令を出している。
報告書は今回の不正を、一部の社員の問題ではなく「会社としての構造的な問題」と断じた。原因に挙げたのは「営業成績を過度に重視する企業風土」である。同社は完全歩合制を撤廃し、2027年から最低保証給を導入するという。
いっぽうニデックでは、3月に第三者委員会が会計不正の調査報告書を公表した。連結純資産への影響額は約1397億円。不正は、グループの全6事業セグメントで見つかった。9月には、800件を超える品質の不適切行為も明らかになっている。
報告書が背景として指摘したのは、営業利益目標の達成に向けた強すぎるプレッシャーだ。「赤字は悪」という考え方が徹底され、目標は必達とされた。その目標は長年トップダウンで割り当てられ、事業部門や子会社の実力を超えていたという。
2社に共通しているのは、不正を止める立場の人が機能していなかったことだ、と私は思う。
プルデンシャル生命の場合、止める役は支社長をはじめとする管理者だった。ところが、成績優秀者との関係が逆転していた。金融庁も「物が言えない」「支社任せ」と指摘している。


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