審査を担当する日本取引所自主規制法人の元外部理事で、東芝の上場判断にもかかわった川北英隆・京都大学名誉教授に、ニデックの上場廃止リスクについて聞いた。
事務局が上場維持の可否について素案を示し理事会で採決
――会社から内部管理体制確認書が提出された後、審査はどのように進みますか。
ガバナンス不全の原因を特定し、その原因が除かれ、正常な処理ができる体制になっているかを確認する。自主規制法人の事務局が論点を整理し、理事会で議論する。そこで生じた疑問や確認事項は、事務局を通じて会社側に問い合わせる。ヒアリングで得た情報を基に理事会で議論し、最終的には事務局が上場維持の可否について素案を示し、理事会で採決する形になる。
――ニデックの場合、何がポイントになるのでしょうか?
着眼点は企業によって異なる。今回でいえば、不適切な会計処理を生んだ体質が本当に変わったのか、再発防止策に実効性があるのかが中心的な論点になるだろう。
――体質改善が難しいと判断されれば、上場廃止となるわけですね。
重要な企業で株主数が多いほど上場を維持する方向の力は働きやすい。上場廃止になれば、既存株主は売買の場を失い、大きな不利益を受けるからだ。そのため、上場を維持しつつ、企業に早急な体質改善を求める考え方が取られてきた。
ただ、現在は上場企業の質が以前より重視されている。今回、議論がどちらに向かうかは外部からは分からない。
――東芝は不正会計の発覚を受けて、2015年に「特設注意市場銘柄(現在の特別注意銘柄)」に指定されました。指定中も不祥事が続いたものの、17年10月には指定が解除されました。
提出された資料や議論を見て、上場維持のための資料はよくできており、作文がうまいなと感じた。しかし、東芝メディカルシステムズ(現キヤノンメディカルシステムズ)や東芝メモリ(現キオクシア)といった成長事業を売却したのを見ても、上場維持が先にあり、企業価値や存立基盤をどう立て直すかという根本的な視点が不足しているように感じた。
企業価値を高めるとは、将来性のある事業を残し、さらに強くすることだ。東芝の場合、成長分野である半導体メモリ事業を米ウエスタンデジタルと組みながら育てる選択肢もあったはずだ。にもかかわらず、債務超過を解消することが優先されていた。
株主のことを一旦度外視すれば、上場か非上場かは、本来、企業にとって最重要の課題ではない。数年先によりよい企業になるための姿勢が見えなかった点に疑問を持った。
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