ASD(自閉スペクトラム症)の息子が、福祉的就労ではなく社会の戦力として働き続ける道はあるのか――。
そんな問いを胸に、スキマバイトアプリ「タイミー」を利用して10以上の現場を渡り歩いた田中健司さん(67、仮名)。実践から得たのは、ハンデのある人の働きやすさは「職種」「業種」ではなく、「可視化」「標準化」に大きく左右されるという発見だった。
「お情け」ではなく、戦力になっていた
65歳にして初めての単発バイトは、アパレル倉庫の軽作業だった。最寄り駅から出ている送迎バスの車内で、田中さんは今日一緒に働く人たちを確認した。
「一見してダウン症だとわかる女性がいました。息子の敦さん(30、仮名)に雰囲気が似ていて、発達に特性があると思われる男性もいました」
現場に着くと女性は常勤の従業員に声をかけられ、名前で呼ばれていた。単発バイトとして働いているが、常連でもあったのだ。
一緒に働いてみて、田中さんは驚いた。
「ダウン症に見える女性は、お情けで働かせてもらっているのではなくちゃんと戦力になっていたんです」
敦さんは障がい者向けの福祉的就労で時給200円前後の工賃を受け取っている。しかしその仕事は福祉の一環であり、生産性は求められていない。障がい者雇用の現場では、「就労機会を与える」ことに主眼が置かれ、障がい者が作ったものが売り場に出ないことも珍しくない。
しかしその女性は敦さんよりも障がいが重そうなのに、健常者と一緒に現場に組み込まれ1000円を超える時給を得ている。田中さんは衝撃を受けると同時に、希望を抱いた。


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