敦さんがかつて、「軽作業のバイトでは自分のようなASDと思われる人が結構働いていたので、なじみやすかった」と言っていたのも思い出した。
農作業のタイミーさんもやってみた。自然相手の農作業は、対人関係が苦手なASDに向いているとよく言われるからだ。
田中さんが担当したのは、袋詰めされた野菜を一つひとつ検品し、コンテナに分け、冷蔵室に運ぶ作業。誰にでもできそうだが、実際にやってみると「検品」が曲者だった。
「工業製品と違って野菜の検品には画一的な基準がありません。店頭に並べられるかの判断は消費者の視点が必要だし、感覚的でもある。敦のようなASDにとっては難しいと思いました」
田中さんはその後、ASDの特性がある人に向いていそうな単発バイトを選び、各現場を「マルチタスク」「フレキシブルな対応」「感覚過敏」「コミュニケーション」「体力・精神力」の5項目で点数化した「働きやすさマップ」を作り始めた。
10以上こなした単発バイトの中で、圧倒的に働きやすかったのが24時間フィットネスジムの清掃だった。
利用者の少ない時間帯に、シャワールーム、洗面台、トイレなどを掃除する仕事は、コミュニケーション能力が低くてもこなせる。田中さんが働いた2つの施設は、いずれも写真や動画のマニュアルを用意しており、作業内容が理解しやすかった。
働きやすい現場は争奪戦
タイミーには通常のアルバイト採用のような面接・選考がなく、雇う側もどんな人が働きにやってくるかガチャの要素が強い。だから日替わりで来る「タイミーさん」が一定の水準で仕事ができるよう、2つのジムは写真や動画のマニュアルを作って標準化しているのだと、田中さんは気づいた。
フィットネスジムのバイトの最大の欠点は、人気がありすぎることだった。田中さんは「募集が出ても秒で埋まってしまう。私も見つけたら即応募していますが、争奪戦が激しくて2回しか入れていない」と苦笑いした。
ASDの人にとってわかりやすい作業環境は、誰にとっても働きやすいユニバーサルデザインの仕事なのだろう。


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