一般のアルバイトから10年のブランクがある敦さんの負担を考え、勤務時間は2時間にした。
担当したのは、ベルトコンベヤーで流れてくる荷物を配送先ごとに仕分ける「シューター」と呼ばれる仕事。マルチタスクが比較的少なく、作業の流れを把握しやすい。
「敦の様子を確認したかったけど、2時間ずっと忙しくて、ちらっと視線を送る程度でした」(田中さん)
無事に作業を終えた後、ヤマトのスタッフに「また来てください」と声をかけられた。
敦さんはその日を思い出し、「非常に楽しかったです。また行きたいです」と声を弾ませた。「お父さんとタイミーで仕事をしたい」と、給与振り込み用の銀行口座も作った。
「調子がいいときに働きたい」は贅沢か
勉強、バイト、友達との交流と、あれもこれも目いっぱいやろうとしてパンクした過去を持つ敦さんは、長い時間をかけて、自身を俯瞰する力を身に付けていた。
「私は働くことが好きです。感謝されるとうれしいし、やりがいを感じます。だけど、決められた曜日、決められた時間に働くことがプレッシャーになってしまうんです」
一つの予定を守るために、その前の生活まで緊張してしまう。「明日は絶対に起きなきゃいけない。そのためには前の日は早く寝なきゃいけない」と不安が大きくなる。
「だから、調子がいいときに働けたらうれしいです」
田中さんは「贅沢だと思うでしょう。私だってそう思いましたよ。ただ、彼らってすごく疲れるんですよね」と言い添えた。
敦さんと直接話した筆者も、彼の意欲の高さや真面目さをひしひしと感じた。逆に言えば、意欲が高すぎてすべてに全力で取り組む点が、普通の人と同じことをやろうとすると、キャパオーバーになりやすいのだともわかった。
田中さんは、「タイミーなら『今日は調子がいい』と思った日に、数時間だけ働くこともできる。短時間に切り出され手順が明確になったスポットワークには、従来型の働き方が難しい人を戦力化するための突破口がある」と感じている。
「福祉の枠内で誰の役に立っているかわからないような仕事をもらうのではなく、人手不足の企業と息子の双方にとってウィンウィンになる形があるのではないかと思うんです」
本人だけでなく企業にもメリットのある働き方が本当に成り立つのか。しばらくは2人でタイミーを続けながら、その答えを探すつもりだ。


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