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筆者はこれまで、トヨタの水素への挑戦を間近で見届けてきた自負がある。だからこそ、約3年前にトヨタの副社長兼CTOの中嶋裕樹氏にイギリス・グッドウッドで水素に関してインタビューした際の言葉が、ずっと胸に引っかかっていた。
「欧州は確実に水素を大量消費するマーケット。われわれはカーメーカーという立場を超えて、水素のエレメントを作る仕入先の仲間の1人になりたい」
しかし、当時のトヨタは手痛い挫折を味わっていた。欧州のあるメーカーから水素タンクの引き合いがあったものの、原価に利益を乗せた結果、市場の倍以上の値段を提示して失注したのだ。
中嶋副社長が大問題だと感じたのは「他にたくさんオファーいただいているので、その1つが失注しただけ……」と言う社内の受け止め方だった。
「水素がカーボンニュートラルの近道だ!!」と信じる仲間に対し、普及を掲げるトヨタがそのようなやり方をしてしまったという冷徹な事実。
中嶋氏は振り返る。「本当に水素で打って出たいならば、『これがどんなコラボレーションにつながるか?』をシッカリと見抜くべきだったはずです」。
その手痛い反省と悔しさから、水素の事業・営業・サービスすべてを一貫して統括する「水素ファクトリー」が立ち上がった。
スカニアとトヨタがFCでタッグを組む
あれから約3年。ドイツ・ハノーバーで開催されている世界最大級の商用車ショー「IAA Transportation 2026」の現場で筆者が目撃したのは、その反省を糧に愚直に撒き続けてきた「仲間づくり」の種が、少しずつ芽を出し始めた姿だった。
その象徴が、フォルクスワーゲングループの商用車部門トレイトンの中核を担う名門、スカニアとトヨタが大型商用FCトラックの実証でタッグを組んだというニュースだ。
大型トラックの世界で、スウェーデンのスカニアは特別な存在だ。ドライバーズカーとしてのプライド、そして徹底的にシビアな採算性と実用基準を持つことで知られる。そのスカニアが自らの「パイロット・パートナー・プログラム」に選んだ心臓部こそ、トヨタの最新「第3世代燃料電池システム(300kW)」だった。


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