一方で、注意すべき変化もあります。PISA2022に続き、参加国全体の得点には低下傾向が見られ、日本でも読解力など一部の得点が下がりました。また、基礎的習熟度に達していないレベル1以下の層の割合にも、増加の兆しが見られます。
ただしこれについて小村氏は、「過去20年間をみると今回よりもレベル1以下の割合が高かった時期があり、かつ毎年増えたり減ったりしている。OECD平均ではレベル1以下が継続的に増えているのとは対照的だ。より長い期間で分析する必要がある」と指摘します。
現段階で「低学力層が急増した」と危機をあおるのではなく、変化を注視し、必要な支援につなげることが重要でしょう。
「好きでもない、やる気も高くない」でも成績は世界トップの理由は?
一方、今回の結果が映し出した最大の課題は、高い学力と、学習への意欲や態度とのアンバランスです。
「科学について学ぶことに興味がある」「さまざまなことに好奇心を持っている」といった項目で、日本の子どもたちはOECD平均を下回りました。勉強の進め方を計画したり、うまくいかないと気づいたときにやり方を変えたりする「自己調整学習」に関する項目も低い傾向にあります。


「海外から見ると、日本は『学ぶことが好きでもないし、学ぶ意義を感じていないのに、なぜこれほど得点が高いのか』というミステリーになるわけです」と小村氏は言います。
この背景には、日本の学校教育の手厚さがあるのではないかと小村氏は分析します。学校では先生が宿題を出し、学習方法を丁寧に教え、面談や進路指導も行います。都市部では塾がその役割を担うこともあります。
子どもは、何を、なぜ、どのように学ぶかを自分で考えなくても、与えられた課題をきちんとこなせば、一定の学力を身につけることができました。それは、日本の教育の長所である一方、自律的な学習を育てにくくしてきた可能性もあります。
「高いスコアがあるからそれでいい、ということではありません。学力と学習への意欲・態度は、意欲が高まれば学力が身につくという順番ではなく、両輪と考えるべきです。意欲や態度をどう高めるかが、これからの日本の最大の課題です」(小村氏)


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