一方で、配偶者の介護をする人の慢性的なストレスと孤立が認知症のリスクを高めるのであれば、介護者を支える仕組みがよりいっそう必要になってきます。
年齢を重ねると、退職したり子どもが独立したりして、人と会う機会は自然と減っていきます。社会との接点の喪失は、認知症の危険因子である「社会的孤立」に直結します。
だからこそ、好きな展覧会に出かけることでも、応援するチームの試合を観ることでも、友人と声を上げて笑うことでも構いませんので、社会との接点が重要なのです。
脳トレでは得られないもの
認知症予防というと、脳トレや計算ドリルを思い浮かべる人は少なくないでしょう。しかし、脳は問題を解くだけの臓器ではありません。感動し、期待し、人と語り合い、笑い、時には涙する。そうした営みを積み重ねながら、1人ひとりの人生を記憶していく臓器でもあります。
脳を守るとは、記憶だけを守ることでもありません。心が動く毎日を守ること。最新の研究は、その当たり前でいて忘れがちな事実を、改めて私たちに教えてくれているのです。医学が今伝えようとしているのは、「何を楽しむか」ではなく「楽しみを失わないこと」の大切さなのです。


※ログイン後、コメント入力が可能です。