今回登場するのは、Kさん。関東地方出身の東京大学3年生である。理科類に現役合格し、現在は一人暮らしをしながら大学に通っている。
彼が「自分は頭がいい」と初めて思ったのは、幼稚園のときだった。小学校受験の塾で受けたIQテストの結果が「127」だった。塾の先生から「すごく頭がいいね!」と言われ、両親も喜んだ。Kさん自身も、その言葉を真に受けた。
だが、その後の彼を待っていたのは、本人も両親も想定していなかったような道だった。「天才」のレッテルを貼られた幼少期から、そこに至るまでに何が起きたのか。その道のりを辿ると、「頭がいい」と言われることが、ときに子どもにとって何よりも重い足かせになり得るということが見えてくる。
幼稚園のとき「IQ127」
Kさんは、関東地方の教育熱心な家庭に生まれた。両親はともに学歴を重んじるタイプで、息子をトップレベルの私立中学校に入れることを、就学前から見据えていた。その第一歩として、幼稚園の頃から小学校受験の塾に通わせる。
その塾で、KさんはIQテストを受けた。結果は「127」。塾の先生からは「すごく頭がいいね!」と褒められ、両親にも伝わった。Kさん自身も「自分は頭がいいんだ」と信じた。
もっとも、当時の彼に「IQテストとは何か」を理解するだけの知識はなかった。いま振り返れば、「あれはきちんとした標準化されたIQテストではなく、塾が独自に実施するものだった可能性が高い」という。

