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今回登場するのは、西岡壱誠さん。複数のベストセラーを世に送り出した文筆家であり、漫画『ドラゴン桜2』の編集にも携わった、教育業界の異色の存在だ。
中学受験で偏差値45程度の私立中学に滑り込み、高校のときの偏差値は35。2浪して、ようやく東京大学経済学部に合格した。
その経歴をみると、彼の物語は決して煌びやかなものではない。しかし、いまベストセラー作家となった西岡さんの姿から遡ってみると、小学6年生のときに書き上げた一本の作品に、後年の文筆家の片鱗を見ることができる。
勉強させたい母 vs 絶対に勉強したくない息子
西岡さんは、東京都で育った。父は単身赴任でほとんど家にいない。母と息子、2人きりの家。息子は勉強がしたくない。母親は息子を勉強させたい。毎日が喧嘩だった。
1人息子の教育に熱心だった母親は、息子を中学受験させようと、日能研という塾に通わせていた。だが小学生の彼には、まるでその気がなかった。彼は勉強しなくてもいい方法を考えた。
日能研の入っているビルまでは、母親が付き添ってくる。そこで、彼は小学生としてはなかなか手の込んだサボり方をしていた。
「エレベーターに乗るところまでは見られていたんで、日能研の階ではなく別の階でエレベーターを降りて、そのままカードショップとかゲームセンターに直行していました」
こういうとき、普通は父親が雷を落とすところである。しかし父は単身赴任で不在。母親だけが怒り、息子が反抗する……そんな家庭内の消耗戦が、小学校時代の彼の日常だった。成績は当然、伸びなかった。
一方、彼はこのときから文章を書く才能を芽生えさせていた。小学生にして、長編小説を書いていたのである。


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