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ライフ #神童だったあの子の今

「バカすぎて"東大なんて無理"とわからなかった」 学年ビリで偏差値35→2浪で東大へ…「社会の両側」書いてベストセラー作家になった経緯

10分で読める
西岡さんの高校時代
(写真:西岡さん提供)
  • 新倉 和花 東京大学法学部卒・麻雀プロ
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しかし母親は、何も言わなかった。三者面談を6時間やったにもかかわらず、全く叱らなかったのである。不思議に思った西岡さんは、母に尋ねた。「なんで何も言わないんだ」。母の返答は、こうだった。

「だって、怒られてたのはあんたでしょ」そして、こう続けたという。

「私は何も言わない。その結果あんたが中卒になったとしても、何も言わない。そう決めたから。だから何も言わないし、干渉しない」

小学校卒業のときの母親の敗北宣言は、今も続いていたのだ。

「怒られることなんて今まで無限にあったんですけど、この時の母親の一言が一番怖かったですね。それと同時に、気付いた瞬間でもありました。ああ、そっか、これって俺の人生なんだもんな。俺、マジでここからは自分でちゃんとしなきゃダメなんだな、と」

高校時代(写真:西岡さん提供)

このときを境に、彼の中で、なにかが少しずつ動き始めた。多少勉強をしたり、生徒会活動を行って内申点を稼いだりして、なんとか高校に入る。

先生の一言で一転…「1日15時間勉強」

その高校で、一人の音楽の先生と出会う。意気投合し、本人曰く「先生というより兄貴というか、師匠として慕うような感じ」になっていく。そしてその人から、「自分の殻を破るために、東大を目指せ」と言われ、その気になってしまう。

「東大合格者ゼロで、当時の偏差値も低くて、成績上位クラスにも入れていない奴に、よく『東大に行け』なんて言ったよな、と思うんですけど、逆にバカすぎて東大がどれくらい距離の遠い場所なのかもわかってなくて」

彼はそこから、原稿用紙100枚の小説を書いたように、東大受験の勉強に没頭していく。この受験に対しても、母親は何も言わなかった。「あんたが受験したいならすればいい」というテンションだった。

高校2年生で小学生の勉強からやり直し、1日15時間勉強をした。もちろん自分1人では全く成績が上がらなかったため、学校の先生や塾の先生・頭がいいと思った友達に片っ端から勉強法を聞いていった。そして2浪の末、ついに東大合格を果たした。

2浪の末、東大に合格した(写真:西岡さん提供)

東京大学経済学部に入学した西岡さんは、その経歴を買われたのか、東大を目指す漫画『ドラゴン桜2』の編集チームに加わることになる。偏差値35から東大に受かった実体験の持ち主が、東大受験漫画の編集を担う――経歴と仕事内容の一致度としては、これ以上ないマッチングだった。

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