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アートも子育ても「余白」が大切。丸シールで美を描くアーティストと脳科学者がひもとく子どもの自律性の育み方

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丸シールアート作家の大村雪乃氏と脳科学者の瀧靖之氏
  • グローブライド 制作:東洋経済ブランドスタジオ
文房具の丸シールを貼り重ね、幻想的な夜景を描き出す現代アーティスト・大村雪乃氏と、子育てに関する著書も多数ある脳科学者・瀧靖之氏。そんな二人が、子育てのキーワードとしてともに挙げたのが「余白」だ。コミュニケーションは重視しつつも干渉せず、よりよい人生を子ども自身が切り拓くための主体性と自律性を育む方法を、アートと脳科学の両視点を交えながらひもといた。

鑑賞者それぞれの心象を呼び起こさせる「余白」 

――大村さんといえば、文房具の丸シールを貼り重ねたユニークなスタイルの作品が代名詞です。この手法を編み出したきっかけを教えてください。

大村 雪乃氏(以下、大村) 美術大学2年生の時に、油絵を勉強する中で、抽象画の中で丸をひたすら描くという表現を試していました。ただ、丸を書いて色を塗るのがなかなか大変で、それなら文房具のあの丸いシールを貼ればいいのでは?と丸シールを使い始めたんです。

幼少期に横浜の自宅からみなとみらいの夜景をよく眺めていたこともあって、その後、夜景を丸シールで表現したらすごく面白いものになるのではないかというアイデアが生まれました。

幻想的な夜の道路風景を描いた『或る夜』。大きさの違う丸シールを無数に貼り合わせ、にじむ光を表現している

一方で東日本大震災の直後、節電が呼びかけられている中で深夜の展望台から普段と変わらない都心の夜景を目にし、手放しで美しいとは思えなくなったことがありました。

安価な丸シールで夜景を再現することで、美しさとは何かを問い直すきっかけになればという思いも根底にあります。

大村 雪乃
丸シールアート作家

美術大学在学中に文房具の丸シールで夜景を表現する絵画を発表し、素材の意外性とビジュアルの美しさで2012年Tokyo Midtown Awardにて入選、オーディエンス賞を受賞。 以降、美術家として活動を開始。精力的な作品発表と並行して、観客参加型のワークショップ監修や、MBS制作『プレバト!!』の丸シールアート査定の先生としてテレビ出演も行う。著作に『Let’s Try!みんなの丸シールアートブックVol.2』など

瀧 靖之氏(以下、瀧) 大村さんの作品を見ていて心を打たれたのが、その美しさと併せ、ある種の「余白」でした。鑑賞者に「◯◯と一緒に見たあの風景のようだ……」といった心象を呼び起こさせるような「余白」です。

解釈が一義的に定められているわけではなく、見る人の考える余地が残されている。だからこそ、多くの人に響くのではないでしょうか。

大村 まさに私も、「余白」が今日のテーマの1つになるのかなと思っていたので、そう言っていただけてうれしいです。

――大村さんはどのような子ども時代を過ごされ、今につながっていますか。 

大村 父は落語からアニメまであらゆるカルチャーが大好きな人で、書斎には何千もの本や漫画、映画などがありました。私自身も小さな頃から一緒に漫画やミュージカル映画を見るなど、いろいろなコンテンツに触れながら育ちました。

一方で、田舎に行ったときなどは外でひたすら虫捕りをするほど、外遊びも大好きで。

親は、よく言えば子を尊重していたのか、基本的にやりたいことをやらせてくれ、干渉しませんでした。「君の人生は君のものだから、自分で歩いていきなさい」といったことを、よく言われましたね。

自分ならではの「審美眼」が幸福度を高める

 大村さんは夜景のほかに、生き物や自然をテーマにした作品も描かれています。そうした幼少期の自然体験も影響しているのでしょうか。

大村 とてもつながっていると思います。大学時代からずっと夜景を描く機会に恵まれてたくさん描いてきましたが、途中で都会の風景ばかりを見ることに息切れしてしまって。

当時は30歳手前で子どもがまだ小さかったので遠出は難しく、ひとまず身近な自然に親しむようにしたのですが、それでもとても癒やされ、「ようやく呼吸できる」という感覚がありました。

併せて、夜景を描くうちに風景そのものへの関心も深まっていき、今に至ります。ですので、自然は私にとって切っても切り離せない、大切なテーマです。

 私自身は北海道の田舎育ちで、都会への憧れが人一倍強く、東京に戻ってくると高層ビルや車、人、洋服などの美しさに、ものすごく幸福感を覚えます。

一方で、北海道に帰って自然に身を置くと、まったく別の次元で心が落ち着くんです。

瀧 靖之
医師・医学博士/東北大学加齢医学研究所 教授/CogSmart代表取締役 CSO

東北大学加齢医学研究所および東北メディカル・メガバンク機構で脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達、加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIはこれまでに約16万人分に上る。2019年に東北大学発の医療テクノロジー系スタートアップ企業CogSmartを創業

脳科学的な観点では、都会にいるとき脳は「他者や社会を意識した思考」を優先させる傾向にあります。自然の中ではその反対で、欲求へのブレーキが緩み、緊張がほどけやすいといわれます。

したがってストレスを解放するにあたり、自然に触れることは非常に重要です。都会的な美しさと自然の美しさ、その両方があることで、うまくバランスを保てるのかもしれません。

――子どもの発達を考えたとき、そうしたさまざまな形の「美」には、幼少時代からどう向き合っていくのがいいでしょう? 

 人工物・自然を問わずさまざまな美に触れながら、自分ならではの「審美眼」を磨くことがとても大切だと思います。

「自分はこういうときに美を感じる」「こういうものにワクワクして心が動かされる」という“自分ルール”ができ上がると、音楽を聴くときも、食事をするときも、絵を見るときも、あらゆる場面で美を感じられるようになる。結果として、人生の幸福度がグッと高まるんです。

そのためには、私たち保護者が、子どもにそういう体験をできるだけたくさんさせてあげることがポイントになります。やはり美に触れる中でこそ、何が美しいのか、どこが好きなのかが見えてきますので。

子どもたちには、自分なりのルールを見つけてほしいと考えています

大村 本当にそうですよね。体力がある限り、見たいもの、知りたいもの、体験したいものをとにかくやってみるというのは、とてもいいことだと思います。

その点、私がやりたいことを親から否定されなかったのは、すごく重要だったのかもしれません。おかげで絵を描くことだけでなく、音楽も食べることも本も好きで、今でも「やりたいことはすぐにやろう」というふうに生きています。

親自身が幸せに生きる姿を子に見せる

大村 だからかもしれませんが、私自身も子育てでは、あまり関与しすぎないよう心がけています。勉強にしても、子どもがやりたいと言うことに関しても「いいんじゃない?」というくらいの距離感で、なるべく任せるようにしていて。

その中で1つだけ「コミュニケーション」に関しては気にかけていて、子どもが伝えたいことをできるだけきちんと伝えられるよう、普段から対話の時間をきちんと設けるようにしています。

わが家では、夕食のときに家族みんなで『今日あったこと』をスピーチするのが日課です

 関与しすぎないというのは、まさに子どもが自分で考える「余白」があるということですよね。それが、子どもの主体性や自律性を育むことにつながると感じます。

――子どもが幸せな人生を歩むために、親ができる“最良の後押し”とは何でしょう? 

(上)『View Point』 (下)『If You're Here』

 やはり、自然体験や文化体験をできるだけたくさんさせること、とりわけ親子で一緒に楽しむことが何よりではないでしょうか。先ほど述べたように、それが子ども自身の美意識を育むことにつながりますし、もう1つ大きな意味を持つのが、大村さんも大切にしている「コミュニケーション」です。

私自身も経験を通して実感していますが、スポーツをする、自然遊びを楽しむ、勉強するといったことに一緒に取り組むことで共通の話題がつねにある状態となり、コミュニケーションがよりよいものになります。

大村 加えて、親自身が幸福な姿を見せることも大切ではないでしょうか。例えば自分がずっとやりたかった趣味を始めてみる。仕事面でもっと成長するために、スキルアップに取り組む。あるいは、夫婦がもっと仲良く過ごすために、家族の時間を増やす──。

そうしたことを通して、より幸せになろうとしている姿を子どもに日々見せることで、子どもの中で「自分もこういう大人になりたい」という1つのモデルができ、かけがえのない成長材料になります。

 「余白」を残しながらいろいろなことを経験させ、対話を絶やさず、親自身が幸せに生きる姿を見せる。そこにこそ、親が子にできることの多くが詰まっていそうですね。

グローブライドは、日本を代表するフィッシングのグローバルブランド「DAIWA」で知られるスポーツ関連企業だ。フィッシングを主力事業に、アジアへと市場拡大するゴルフ事業、そして日本国内のブームをけん引してきたラケットスポーツとサイクルスポーツの4事業を展開し、世界中の人々に人生の豊かな時間を提供する「ライフタイム・スポーツ・カンパニー」を掲げている。
環境活動においては、自然の美しさや尊さを守り、次世代へつなぐための取り組みを続けており、一人ひとりが「自分ごと」として環境保全を捉える姿勢とも深く重なり合う。美しく豊かなフィールドこそ、知的好奇心を抱き、自然を守るべきという強い意志を持つことができるからだ。
50年も続くD.Y.F.C(ダイワヤングフィッシングクラブ)の運営では、釣りを通した「原体験」を尊重しており、自然の中で出合う美しい生き物とその色彩、自然の中の音や匂いといった「五感」を揺さぶる実体験は、子どもの知的好奇心を呼び起こす。自然の中で「自分で考え、自分で工夫し、自分で動く」学びの場を提供することで、人生のエンジンとなる自己効力感を育んでいる。
「グローブライド」という社名には、地球を舞台にスポーツの新たな楽しみを創造し、自然を愛するすべての人に貢献したいという思いが込められている。
今後も、地球を五感で楽しむ歓びを広め、豊かな感性を持つ子どもたちと共に、アウトドアスポーツ・レジャーの未来を拓いていくユニークな企業だ。