クレジットカード決済代行を手がける「全東信」(大阪市)は7月6日、大阪地裁から破産手続き開始決定を受けた。
申請時点の負債額は約1151億6400万円にのぼり、帝国データバンク調べでは、今年最大の倒産となった。今回の破産により、同社の決済サービスを利用していた小規模・零細の飲食店を中心に、連鎖倒産の発生が懸念される。
政府が手厚い支援を呼びかける「異例の事態」に
『株式会社全東信の破産手続開始を踏まえた金融上の対応について』――。
内閣府や金融庁、財務省など7省庁は7月10日、各金融機関が属する業界団体に対して、今回の破産により影響を受けた、飲食店をはじめとする事業者の資金繰り支援を要請した。
上記の要請文を読むと、「資金繰りの相談に丁寧かつ親身に対応するなど、引き続き、事業者に寄り添ったきめ細かな支援を徹底すること」「融資判断に当たっては、それぞれの事業者の現下の決算状況・借入状況や条件変更の有無等のみで機械的・硬直的に判断せず(中略)、丁寧かつ親身に対応すること」などの文言が並んでいる。
1つの倒産案件で、政府がこれだけ迅速かつ手厚い支援を呼びかけるのは、極めて“異例の事態”だ。筆者は2000年から26年にわたって数々の倒産事件を追いかけてきたが、最近ではほとんど類を見ない。それだけ、全東信の決済サービスを利用していた全国各地の中小事業者が、今まさに連鎖倒産の危機に直面している証左とも言える。
一連の騒動を引き起こした「全東信」の前身は、1987年5月設立の「大阪南飲食事業協同組合」とされる。大阪・難波地区を中心とする“夜の街”の店舗を支える、互助会的な組織からスタートし、その後、06年9月に法人改組された。
同社のビジネスモデルは、飲食・サービス・物販業等の加盟店と、クレジットカード会社との間に立ち、決済処理と売上金の早期立て替え払いを行い、手数料収入を得るというもの。当然ながら、「薄利多売」の手数料ビジネスであり、「加盟店に対する支払い」が常に先行する。したがって、このビジネスモデルを安定的に維持するためには、「多額の運転資金」とその後ろ盾となる「信用力」が何よりも重要だった。

