全東信の借入金は事業規模の拡大とともに大きく膨らみ、一時は全国の100を超える金融機関から1500億円以上の融資を受けていたようだ。申請時点の負債額(約1151億6400万円)を大きく上回る規模だが、その金額の乖離は裏を返せば、この間に同社との取引を解消したり、減らしたりした金融機関が直前まであったということだろう。
また、全東信のお膝元である「大阪に本店を置く主要金融機関」が、同社の債権者に含まれていない。現時点で真相はもちろんわからないが、これらの金融機関の中には、同社の“異変”やビジネスモデルの限界を早期に見抜いていたところもあったのかもしれない。
飲食店を取り巻く環境は厳しい…連鎖倒産にも現実味
帝国データバンクの調べによれば、26年上半期(1~6月)における「飲食店」の倒産は473件にのぼり、年上半期として過去最多を更新した。年間最多件数を記録した25年(900件)を上回るペースで推移するなか、食材・光熱費の高騰、人手不足、賃上げなど、飲食店を取り巻く経営環境は厳しさを増している。
こうしたなかで突然起きた「大手決済代行業者」の破産事件。多くの小規模飲食店にとって、日々の資金繰りを支える“決済インフラ”として不可欠な存在でもあっただけに、その影響はすでに全国各地に及んでいる。
加盟店には、困惑の声が広がっている。クレジット端末機が突然使えなくなり、店頭には「現金のみの決済になります」「しばらくの間、カード払いが利用できません」といった貼り紙が相次いだ。なかには「半月分の売上金が返ってこない」といった悲痛な声も聞かれる。
全東信からの入金を、目前に迫った食材費やスタッフへの給与支払いに充てようとしていた飲食店も、多数いたに違いない。「少なくとも2万を超える加盟店に対し、50億円超の売上金を入金できていない」との報道も出ている。今後、資金繰りに支障を来した小規模・零細の飲食店の連鎖倒産が広がるおそれは十分ある。

