「日々の売り上げを4日後から毎日入金できる」プランなどを売りに、カード会社と直接契約するよりも早く現金を手元に確保したい加盟店の支持を集めた。東京や神奈川、大阪、九州を中心に営業を展開する中で、18年9月には加盟店数が20万店に達し(全東信のホームページより)、コロナ禍直前の20年3月期には年収入高約80億円を計上した。
しかしこの間、スマートフォン決済の普及を背景として、キャッシュレス決済を提供する新興の決済サービス会社が相次いで市場に参入。競争が激化し、顧客である加盟店をつなぎとめるため、手数料率の引き下げを余儀なくされ、結果として収益率の低下と財務内容の悪化を招いた。
さらに20年以降は新型コロナ感染症拡大の影響から、加盟店の中心である飲食店が時短・休業を余儀なくされ、21年3月期の年収入高は約50億円に減少。その後も長引く感染症の影響で加盟店獲得に向けた営業活動にも支障を来し、翌期も採算確保には至らず2期連続で営業損益段階から大幅な赤字を計上した。
一連の不祥事で顕在化した“ほころび”
24年1月、通常であれば加盟店契約に関するカード会社の審査が通らない飲食店について、他人名義で加盟店契約を結んだとして、社員らが逮捕される事件が発生。その後、不正を会社の業務として行っていたとして当社も組織犯罪処罰法違反の疑いで書類送検された。
一連の不祥事により、全東信のビジネスモデルの根幹を支える「多額の運転資金」とその後ろ盾となる「信用力」が大きく毀損。ここ数年の利上げ局面も、多額の借り入れを抱える同社にとって大きな負担となった。以降も信用不安が表面化して資金調達にも支障を来すなか、先行きの見通しが立たないことから事業の継続を断念し、26年7月6日、突然破産が表面化した。
一部で報道されている「20年以上にわたる大規模な粉飾決算」が事実だとすれば、日々の立て替え払いに必要な運転資金を維持・確保するためには、金融機関に虚偽の決算書類を示し続けるしかなかったということだろう。その意味では、全東信のビジネスモデル自体はとうの昔に限界を迎えていた可能性が高いのかもしれない。
今後については、以下の2点を注視していきたい。
前者については、金融庁が実態調査に乗り出しているほか、後者についても、政府が緊急で支援を呼びかけるほど“差し迫った問題”であり、いつ連鎖倒産が発生してもおかしくない。
『決済代行大手、全東信が破産 今年最大』のニュースが駆け巡った翌日の7月7日、「東和銀行」(東証プライム)や「三十三フィナンシャルグループ」(東証プライム)などが『債権の取立不能又は取立遅延のおそれに関するお知らせ』を相次いで公表。その後も週末にかけて、同様の開示が続いた。
多くの開示資料を確認すると、「信用金庫」や「信用組合」によるものも複数あった。本来であれば、上場会社と異なり積極的な開示義務はないはずだが、1金融機関当たり多いもので100億円超から数十億円にのぼる債権額の大きさから開示を迫られた形となった。

