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「三途の川を渡りますがよろしいでしょうか?」
店に入ると、60代とおぼしき「メイド」たちにそう声をかけられた。入り口には、水色の模造紙と青いビニール紐でできた手作り感満載の「三途リバー」が設置されており、思わず笑いがこみ上げる。
「三途の川って、渡るとどこに行くんですか?」と尋ねると、笑顔のメイドたちが「あの世ですよ」といざなう。店内は明るく広々としていて、木の温もりを感じるつくりだ。席に着くと、「お清めの水でございます」と水を運んでくれた。
オープンキッチンからは、給食のような懐かしいにおいがする。「冥土弁当」が運ばれてくると、メイドたちが集まり、ハート型を描くように「おいしくなあれ、喪え喪えきゅん」と両手の人差し指を動かした。
なんだろう、この不思議な楽しさは。さっきまであれこれ考えていたことがすべて吹き飛んでしまう。まさに「あの世」感たっぷりだ。妙な安心感は、「メイド」たちが全員人生の先輩であることからくるのかもしれない。
この日の「冥土弁当」のメニューは、たけのこ入りのシュウマイに副菜が2品、小ぶりのおにぎりが2つとレタスと卵のスープだ。おうちごはんのような優しい味わいが「この世」で疲れた体に沁みた。
ここは、群馬県桐生市のNPO法人キッズバレイが運営する「冥土喫茶しゃんぐりら」。月1回、4時間だけ開店するシニアの居場所である。現在8名いる「メイド」たちは、全員が65歳以上だ。
オープンの朝8時を過ぎると続々と人が吸い込まれていき、あっというまに25名ほどが入店。12時の営業終了まで客足が途切れることなく、およそ60名が訪れた。
全国から客が押し寄せる「冥土」喫茶
会場となるのは、キッズバレイが2015年から運営するコミュニティスペース「ココトモ」だ。商店街の一角にある古いビルにあり、2階は時間制のコワーキングスペースとして利用可能だ。
