店長でキッズバレイスタッフの横倉佑樹さん(42)によると、現在の客数は平均すると50人前後、多い時で100人以上だという。客の8〜9割はリピーターである地元のシニアだ。だがこの日は、栃木や埼玉、千葉、神戸など全国から客が訪れており、中には子連れや20代の姿もあった。
67歳の常連男性は、「毎日でも開催してほしい。ここに幸せがあるよね」と満面の笑み。80代の女性は「ここはいいわよ〜。こんな年寄りでも受け入れてくれるんだから!」と、この日初めて会ったという隣席の女性と意気投合していた。
本家のメイド喫茶にも足を運んだことがあるという30代の男性は、埼玉から前泊して訪れた。「本家だとなかなかゆっくり話ができないですが、ここだとかなりフレンドリーにお話ができます」と違いを語る。
この日メイドたちは、4時間の営業中一度も座ることなく客に気を配り続けていた。一人客にはすかさず声をかけ、客同士が仲良くなれる仕掛けのビンゴを説明して歩く。親しみやすい声かけはもちろんのこと、底抜けに明るい笑顔が印象的だ。
ハツラツと店内を行き来するメイドたちの様子を見て、この場所の主役は彼女たちなのだと確信する。営業を終えると、「私これから合唱練習よ〜」「今日は家族もいないから一人でランチ!」などと言いながら颯爽と店を後にした。
「父の輝ける場所がない…」社会に対する憤りがあった
この取り組みを発案したのは、店長の横倉さんだ。もともと大阪の広告代理店で働いていたが、誰かが作ったものに付加価値をつけるだけではなく、自分が作る側に回りたいと考えるようになったという。どうせなら生まれ育った故郷のためになにかしたいと、2023年に桐生にUターン。
「冥土喫茶」のアイディアは、以前通っていたコピーライター養成講座の課題として考案し、「おもしろい」と評価されていた。背景には、自身の父親に対する思いがあるという。
