東洋経済オンラインとは
ライフ

「おいしくなあれ、喪え喪えきゅん」全員65歳以上の"メイド"に会いに、全国から客が訪れる「喫茶」の正体

16分で読める
全員が60代と思しき「メイドたち」
「いらっしゃいませ」と迎えてくれたのは全員が60代とおぼしき「メイドたち」(写真:筆者撮影)
2/9 PAGES
3/9 PAGES
4/9 PAGES
5/9 PAGES

星野さんは、「『シニアの居場所』とするのではなく、『なんだか楽しそうな場所』にすることで、誰もが足を運びやすくなる」とその狙いを説明する。実際、当初は様子をうかがっていた人も、じわじわと情報が広がったことで、足を運ぶようになってきている。

この日初めて訪れたという地元の90代の独居男性は、「普段は掃除をする時ぐらいしか外に出ないけれど、うわさを聞いて来てみた」と話した。

メイドたちは客と会話を楽しむが、話を聞いて必要を感じた場合は、星野さんが仲介役となって自治体の福祉サービスにつなげることもあるという。

あくまでも事業化をしないワケ

これだけ全国から客が訪れ、毎回賑わいを見せながら、「冥土喫茶しゃんぐりら」は事業化していない。その理由を横倉さんはこう語る。

「事業化してしまうと、利益を出そうという発想になるので、僕もメイドさんに厳しくなってしまうだろうし、メイドさんが楽しく過ごせなくなってしまうんですよ。それだと本末転倒なんです」

冥土喫茶は、客にとっての居場所であると同時に、メイドとして働くシニアにとっての居場所でもある。事業化して収益や効率を追えば、メイドの採用基準も運営の作法も変わらざるを得ない。65歳以上であれば「やりたい」という人をほぼ受け入れる現在の仕組みは、事業性とは両立しない。

小さな子どもにも「喪え喪えきゅん」をするラブちゃん。子育て中の親にとっても、癒やしの場所になっているのかもしれない(写真:筆者撮影)

さらに、「冥土弁当」は2025年末から、値段設定そのものをなくしてしまった。当初は600円で提供していたが、完全寄付制に切り替えたのだ。「飲食店ではなくて、居場所として継続的に開催していきたいと考えていた。寄付制にすることで、余裕のある時は応援していただき、大変な時も気兼ねなく来れるような場にしたかった」と代表の星野さんは理由を語る。

結果として、客は平均1000円程度の寄付をしてくれるようになった。1回の開催につき集まる寄付金は5万円前後だ。

6/9 PAGES
7/9 PAGES
8/9 PAGES
9/9 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象