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前回までは、日立市唯一の百貨店「ボンベルタ伊勢甚日立店」が2005年に閉店した背景を追った。
企業城下町の縮小が直接の引き金だった一方で、最盛期には人口20万人規模の都市でありながら百貨店が1店しか根付かなかった背景には、日立特有の事情もあった。
山と海に挟まれた細長い地形・企業従業員向けの供給所の存在・水戸市への購買流出・市内に分散した商圏と、百貨店を支えにくい構造がもともと存在していたのである。
では今、その街はどうなっているのか。百貨店が消えた後の日立駅前を、実際に歩いて確かめていく。
閑散とした駅前、しかし寂れてはいない
日立駅を降りると、まず目に入るのは海だ。駅舎は日立出身の建築家・妹島和世氏の監修で11年に建て替えられ、ガラス張りの自由通路から太平洋を望める。妹島氏は、「日立に住んでいたころ、いたるところから海が見えた。駅からも海が見えるようにしたかった」と語っている(日立駅周辺地区整備事業リーフレット・14年)。
