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今回登場するのは、日本語・中国語・英語のトリリンガルとして育ち、早稲田大学政治経済学部を含む4学部に総合型選抜で合格し、中国の名門、清華大学にも合格。現在は推薦入試特化塾「リザプロ株式会社」を率いる孫辰洋(そん たつひろ)さん(24)。「勉強しろ」とは一度も言われずに育った少年が、いま教育産業の最前線に立っている。
「新しい友達を1人つくるまで帰ってくるな」
「新しい友達を1人つくるまで、帰ってくるな」
孫辰洋さんが育った原風景は、団地の長い廊下と、夕方になっても帰らない子どもたちの声だ。
「両親は日本国籍を取得した中国人で、家ではずっと日本語を使っていました。住んでいたのは団地で、決して治安のいいエリアではなかったんですが、子どもの数は異常に多くて。どの家でゴロ寝していても怒られない。そういう緩い空気の中で育ったんです」
孫家の教育方針は徹底していた。ただし、勉強に厳しかったわけではない。
「父にも母にも、勉強のことを口うるさく言われた記憶がほぼないんです。代わりに、毎朝のように言われていたのが『新しい友達を1人つくるまで、帰ってくるな』。これは本気の指令で、僕は『今日の1人』を見つけては家に帰る、というのを繰り返していました」
小学校に上がる前から、見ず知らずの子どもに声をかけ、名前を聞き、一緒に遊ぶ。それが日課だった。コミュニケーション能力を、英才教育のように仕込まれた幼少期――。今の彼を支える芯は、このときに形づくられた。
