2020年6月、リザプロ株式会社を設立。総合型選抜に特化した日本初のオンライン塾だった。
現在は推薦対策に加えて、英検対策、一般入試対策などを展開し、累計指導生徒は2000人以上に。早慶上智・GMARCHを中心に合格者を出している。社員に加えて、100人規模の現役大学生がインターンとして関わる大所帯に育った。
「知識は無料で全員に公開してしまえばいい」
25年には推薦入試専門メディア「未来図」を本格リリース。合格者が書いた志望理由書を無料で公開する「推薦入試データベース」を立ち上げ、情報格差の解消に本格的に踏み込んでいる。
「モンゴルで現地の人に怒られたとき、僕は『知識を持って話し合えば、対立は解ける』と学びました。教育の本質も、同じだと思っています。知っているかどうかで、人生の選択肢の数が変わってしまう。だったら知識を、無料で、全員に渡してしまえばいいと思うんです」
団地で「友達を1人つくるまで帰ってくるな」と言われた少年は、4歳で中国に渡り、北京の教室で各国の同級生と橋渡しをし、街では中国人のふりをして反日デモをやり過ごし、高校では校門に向かって一礼する規律の中でバスケ部の部長になった。
並べてみると、ひとつの一貫したテーマが浮かび上がる。「目の前の相手と、どうにかして対話する」――ただそれだけだ。
「いま振り返ると、両親が『勉強しろ』と一切言わなかったのは、たぶん意図的だったと思うんです。テストの点を上げるより、誰とでも話せる子になってほしかった。勉強は、本人がその気になればいつでもできる。でもコミュニケーション能力は、その時期にしか身につかない。親なりの賭けだったんだと思います」
トリリンガルとして育ち、国際問題を肌で知った青年はいま、未来を担う高校生のために、オンラインの画面の前に座っている。
神童と呼ばれた子の行き先は、必ずしも研究者や官僚ではない。「人と話せる」というたった一つの力を、すべての判断につなげていく――彼の人生は、その歩みの先にあり続けるのかもしれない。
