例えば、新宿エリアで考えたとしよう。従来はすべてフォーマットが同じだった中、今後はJRの駅ナカは「リミテッド」、マルイ内のテナントは「サテライト」、そして路面は「マザーストア」とすみ分けていく。小回りが利く運営に切り替えることで、自然とエリア全体での采配を意識するようになり、ドミナントに近い発想が培われていくわけだ。
飲食業界は「ボーダレス化」が進んでいく
もう1つ、FFHの特徴であり、サンマルク復権の鍵を握るポイントがある。それが注文を受けてから調理を行う「ツーオーダー方式」の採用だ。
サンマルクといえば、店頭の棚に並べられた惣菜パンを、トレーとトングで選んでいき、会計時に店員が温め直して提供してくれる。そんなスタイルを思い浮かべるだろう。
これをFFHではガラリと刷新、セルフレジで省人化を図り、浮いたリソースを調理に割いた。これによりレタスやトマトなどの生野菜を組み込んだメニューも実現可能となり、より出来立て感を訴求する。
ハンドメイド感を押し出した背景には、飲食業界全体の動向が関係している。
「現在の飲食業界は、“ボーダレス”化が進んでいる。コンビニやスーパーがイートインスペースを確保したり、ファミレスが冷凍食材の物販を始めたりと、提供している価値が似通ってきている。小売と外食などジャンルやフォーマットは違えど、徐々にそうした垣根も失われていく。
では、その中で、どう差別化を図るか考えた際、店内調理で出来立てを提供する価値に重きを置いた。他社のカフェチェーンでも、すべてのフードをツーオーダー方式にしているところは数少ない。コンビニやスーパーもPBを展開しているが、基本的にはセントラルキッチンで製造しており、店内で調理しているわけではない。ここにサンマルクの色があると考えた」(小山氏)
小山氏が指摘したボーダレス化は、まさにFFHにも該当する。
店頭のセルフレジで注文し、会計を済ませてカウンターに移動して、モニターでレシートに記載された受け取り番号の表示を待つ。いわばマクドナルドや松屋などのオペレーションを彷彿とさせ、「ファストフードとカフェの中間」を思わせる。店舗デザインやオペレーション面でも、ボーダレス化を感じる中、それだけ差別化も重要になる。
