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高層マンションが立ち並ぶ東京・東上野の一角に、神社仏閣を思わせる宮造りの建物が佇んでいる。都内屈指の人気を誇る銭湯「寿湯」だ。
時刻は9時30分。玄関をくぐり脱衣所へ足を踏み入れると、浴場の奥からタイルをブラシでこする軽快な響きと、勢いよく湯をまいて床を流す音が聞こえてきた。5人のスタッフが手分けして、床や浴槽、壁、脱衣所、サウナなど至るところを丁寧に磨き上げていく。時折「キュッキュッ」という音が響いてきて清々しい気持ちになる。
絶滅危惧種になりつつある銭湯の風景
10時50分にはスタッフが集まり「いらっしゃいませ!」「はい、かしこまりました!」と全員で復唱を開始。3時間にわたる掃除を終え、11時の開店と同時にふたりのお客さんが暖簾をくぐった。おそらく常連客なのだろう、スタッフとにこやかに挨拶を交わし脱衣所へ向かう。
おそらく、どこの銭湯でも繰り広げられてきた風景だ。しかしそれは今、絶滅危惧種になりつつある。
銭湯業界は深刻な廃業ラッシュが続いている。燃料費高騰や設備老朽化、後継者不足などの影響で、東京都内ではこの15〜20年で約460軒以上の銭湯が姿を消した。
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【現在、東京の銭湯は420軒程に…】
