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ライフ #消滅寸前ビジネス

460軒が消えた業界で「1日700人」を集める寿湯、元プロボクサー3代目が語る「銭湯がなくなった街」の行方

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高層マンションを背に建つ寿湯。歴史を感じさせる宮造りの建物は存在感がある(写真:筆者撮影)
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外国人観光客に対しても、多言語の入浴マナーの案内を作成した。最近では、事前にマナーを調べてくる人が増えたことに加え、丁寧な案内の積み重ねもあり、常連客から「外国のお客さんのほうがマナーがなっているよ(笑)」という声すら出るほど改善されたという。

イラストをふんだんに使い入浴マナーがわかりやすく説明されている(写真:筆者撮影)

集客を支える3時間の清掃と兄弟による"チーム経営"

イベントやコラボが話題を呼ぶ一方で、寿湯の集客を根底で支えているのは、地道な清掃と接客だ。

祖父から受け継がれた「清潔・きれいは基本」という教えを、亮三さんは愚直に守り続けている。浴槽は毎日すべての湯を抜き、4〜5人のスタッフが3時間かけて浴室を磨き上げる。亮三さん自身もフロントにとどまらず、お客さんと同じ目線で浴室の状態を確かめ、口コミに不満の声があれば即座に改善する。この徹底ぶりが、お客さんの信頼をつなぎとめてきた。

開店前の掃除では、シャンプーやボディソープのボトルなどがピシッとそろえられていた(写真:筆者撮影)

こうした亮三さんの経営スタイルは、家族一人ひとりの「背中」から学んだものの集積でもある。母から学んだお客さんへの接し方は、常連客への声かけに表れている。父から受け継いだ修理への姿勢は、前編で触れた通りだ。

兄たちの存在も大きい。企画力に長けた長男・秀三さん(薬師湯)からはイベント企画やSNS発信の方法を、経営や設備修繕に強い次男・雄三さん(ひだまりの泉 萩の湯)からは運営の合理性を吸収した。

「それぞれの強みを盗んで、良いとこ取りして寿湯の経営に生かしている感じですね」

この「良いとこ取り」は、個人の学びにとどまらず、組織的な仕組みとして機能している。

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【銭湯はコミュニケーションの場】

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