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15年で460軒消滅…「花咲くどころかつぼみにもならず」のボクサーが38歳で挑んだ"第二のリング"は「沈みゆく銭湯」だった

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寿湯3代目オーナーの長沼亮三さん
寿湯3代目オーナーの長沼亮三さん(写真:筆者撮影)

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「今度はどこが壊れた!?」

2017年7月。耐震補強工事を終え、営業を再開したばかりの銭湯で、ひとりの男性が頭を抱えていた。3代目オーナーの長沼亮三さん(46)だ。どうやら浴槽のお湯を清潔かつ適温に保つ循環ポンプが漏電しているらしい。数日前に修理したはずなのに、なぜまた同じところが?

営業再開からわずか1カ月の間に、トラブルが立て続けに起こった。1週間で温度調節器が壊れ、発券機が動かなくなった。さらに循環ポンプが漏電を起こす。修理したはずの箇所がまた故障――その繰り返し。

ここは東京・東上野にある銭湯「寿湯」。1959年に祖父が買い取って以来、長沼家が3代にわたって守ってきた店だ。亮三さんは38歳でそこを受け継いだばかりだった。

伝統的な宮造りの外観とえんじ色の唐破風屋根が特徴の寿湯(写真:筆者撮影)
【写真を見る】15年で460軒消滅…「花咲くどころかつぼみにもならず」のボクサーが38歳で挑んだ"第二のリング"は「沈みゆく銭湯」だった(23枚)

東京都内の銭湯はこの15〜20年で約460軒以上が姿を消し、廃業のペースは止まらない。そんな“沈みゆく業界”に、亮三さんはプロボクサーから転身して飛び込んだ。これは1勝3敗3分け、「花が咲くどころかつぼみにもならず」終わった男の、第二の人生の話である。

「家風呂に憧れた」銭湯育ちの少年

亮三さんは1979年、銭湯を経営する家庭に3人兄弟の末っ子として生まれた。実家は東京・墨田区にある「薬師湯」だ。祖父は一時期、都内で9つもの銭湯を所有しており、亮三さんは幼い頃から「いつかお前にも継がせる」と言われて育った。

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【銭湯が家風呂の代わりだった少年時代】

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