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460軒が消えた業界で「1日700人」を集める寿湯、元プロボクサー3代目が語る「銭湯がなくなった街」の行方

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高層マンションを背に建つ寿湯。歴史を感じさせる宮造りの建物は存在感がある(写真:筆者撮影)
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なぜイベント湯の回数を増やしたのか。

「異業種交流会で喫茶店の経営者と話したんですけど、すごく人気があるパンでも期間限定でやめて、また違うものを出すんですって。定期的に変えることでお客さんが離れない。銭湯も同じだなと。いつも同じじゃつまらないから、なにか楽しんでもらえることをやろうと思っていろいろ企画してます」

ハリウッド・BEAMS・蕎麦店型破りな"コラボ戦略"

さらに、企業や他業種とのコラボレーションイベントにも果敢に取り組んだ。

亮三さんが最初に手がけたのは、2018年の大型ハリウッド映画『ジオストーム』とのタイアップだ。広告代理店からの依頼を受け、銭湯全体で異常気象を体感する「地終嵐(ジオストーム)湯」を期間限定で実施。浴室の背景画は、唯一の女性銭湯ペンキ絵師の田中みずきさんが、「災害に立ち向かう物語」感満載に塗り替えた。

唯一の女性銭湯ペンキ絵師の田中みずきさんによるディザスター(人間が災害に立ち向かう物語)感満載のペンキ絵(写真:長沼亮三さん提供)

ほかにも温度を上げ赤い光で覆った「灼熱のサウナ」、氷を入れた「極寒の水風呂」などを用意し、映画の世界観を銭湯で再現した。これらは、「銭湯×映画」を同時に楽しめると評判を呼び、2週間の開催で来場者は1日あたり約30人増えた。

また2019年には「BEAMS×牛乳石鹸」コラボを実施。東京都浴場組合に加盟する約550店舗で展開され、寿湯はその拠点となった。人気イラストレーター長場雄さんの牛のイラストが暖簾、看板、鏡、壁面と浴室一面をかわいらしく彩り、オリジナルの薬湯「牛乳石鹸赤箱の湯」も提供。来場者は過去最高を記録し、1日あたり約50人増となった。

イラストレーター長場雄さんによる牛のイラストが描かれた(写真:長沼亮三さん提供)

加えて、近所の蕎麦店「そばすけ」とのコラボ「蕎麦つゆ風呂」も話題を呼んだ。

「両店の常連客の雑談から生まれた企画なんですよ。露天風呂に蕎麦の浸け出汁の素を入れて、湯上がりには蕎麦店の店主が試飲つゆを振る舞いました」

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【寿湯には若者を中心に、1日平均600〜700人が訪れるように】

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