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460軒が消えた業界で「1日700人」を集める寿湯、元プロボクサー3代目が語る「銭湯がなくなった街」の行方

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高層マンションを背に建つ寿湯。歴史を感じさせる宮造りの建物は存在感がある(写真:筆者撮影)
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一見突拍子もない企画だが、実際にやってみると大好評だったという。こうした地元の店を巻き込んだイベントも、寿湯では定期的に開催している。

そして、イベントに関する発信を続けた結果、企業側からオファーが舞い込む好循環も生まれた。「うちでイベントできるよってSNSで発信してると、どんどん『どうですか』ってお話が来るんです」と亮三さんは笑顔を見せる。

急増した新規客と外国人観光客思わぬ副作用

積極的に新しい取り組みを続けた結果、寿湯には若者を中心にお客さんが増え、1日平均600〜700人が訪れるようになった。

だが、成功には副作用もあった。急増する新規客と常連客の間に、摩擦が生じたのだ。銭湯に慣れていないお客さんが体を流さず湯船に入るといったマナー違反が目立ち、常連客から不満の声があがるようになった。また、1日100人近くの外国人観光客も急増。「2年前までは洋服を着たまま湯船に入る方もいた」という。

新規客と常連客、両者のバランスをどう取ればいいのか。

亮三さんが選んだのは、日々の声かけを丁寧に重ねることだった。開店時には来店客一人ひとりに挨拶をし、常連客とは「今日は暑いねー」と何気ない会話を交わす。顔の見える関係を築くことが、誰にとっても居心地のよい空間をつくる土台になると考えたのだ。

寿湯の受付。開店後はここでスタッフとお客さんの会話が繰り広げられる(写真:筆者撮影)

さらに亮三さんは現場の空気感をつかむため、こんな工夫もしている。

「僕は営業中に必ずお風呂に入ってるんですよ。お客様のいい声も悪い声も聞こえてきますからね。SNSもチェックして、不満の声があればすぐに改善します」

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【集客を根底で支えているのは、地道な清掃と接客】

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