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【独自】複数名訪問看護の"不自然なシフト表"を入手、ホスピス住宅最大手アンビスHDの「医心館」で何が起きていたか

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東証プライム上場のアンビスHD。昨年の調査報告書で、悪質な不正は認定されなかった(写真:編集部撮影、記事中に登場する拠点とは関係がありません)

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「これまで何人もの調理・清掃スタッフの名前が訪問看護のシフトに入っているのを見てきました。しかし、実際に訪問看護をしているのを見たことは一度もありません。それどころか、本人たちは自分の名前で訪問の予定が入っていたこと自体を知らず、シフトの存在を教えたら『え、なにこれ?』と驚いていました」

そう語るのは、末期がんや神経難病などの高齢者を受け入れる「医心館」のある拠点で働く職員だ。

医心館は、利用者が入居する個室を「自宅」とみなし、24時間体制で訪問看護や訪問介護を提供する住宅型有料老人ホームだ。運営するのは、東証プライム市場に上場するアンビスホールディングス(HD)。全国に137拠点を展開している(4月末時点)。

医心館のような業態は「ホスピス住宅」などと呼ばれ、訪問看護による診療報酬を収入の柱とする。ホスピス住宅は、終末期ケアを担う存在としてここ数年で拠点数が急増。アンビスHDはその最大手である。

加算を算定できる複数名訪問

医心館には、看護師や介護職員のほかに「生活支援員」と呼ばれるスタッフが在籍している。多くはパートタイマーで、業務は調理補助と清掃が中心だ。インターネット上の求人では「お食事の前後の時間は調理補助業務、空いた時間で清掃業務」「2つのお仕事を担当いただきます」と説明されている。

冒頭の職員が働く医心館では、この生活支援員に、1日の勤務時間を通じて何件もの訪問看護の予定が割り振られる“不自然なシフト表”が、複数存在していた。

生活支援員に割り振られていたのは、いずれも「複数名訪問看護」だった。訪問看護は通常1人で行うが、体重が重い利用者に処置をするなど単独での看護が難しい場合には2人で担当することがある。その際には、基本報酬のほかに加算報酬を算定できる。看護や介護の資格が問われない生活支援員であっても、「看護補助者」として複数名訪問に同行することは制度上、問題ない。

ところが、この拠点の生活支援員は、利用者の食事の準備や片付け、清掃などで多忙だ。とくに昼食時間帯は厨房業務にかかりきりになるという。「普段の生活支援員の忙しさを見る限り、1日に何件もの訪問看護に同行する余裕があるようには思えない」(前出の職員)。

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【「訪問看護は一度もしていない」】

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